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あの時、あのBARで
第2章 BAR・Remembrance
私たちの出会いの場となり、
生涯でもう二度とないドラマティックな偶然を目の当たりにした、
BAR・Remembrance(リメンバランス)。
こんなにも大切な想い出に彩られているこのバーなのに、訪れたのは今日が二度目。
彼と出会った日から一度も来ていないなんて、それ自体もかなりの驚きだ。
彼がそっとドアを開ける。その後ろで、テラス席に舞い落ちている枯れ葉の音を
目で追う私。
一気に懐かしさが甦ってきた。
「いらっしゃいませ」
バーテンの声が静かに響く。お好きな席へと言われ、迷うことなくカウンターへと向かう。
二人並んでスツールに腰かけてから、壁の水槽が無くなっていることに気付いた。
あの時、私は一人でこの店に入り、カウンターに座った。
バーテンの背中越しに壁一面の大きな水槽があり、
色鮮やかな魚たちが優雅に泳ぐ姿を見せていた。
一人の寂しさ、いえ、ここに来た理由をも紛らわせてくれた。
思い出の一部と言ってもいいその水槽は取り外され、
鏡の壁の前にいろんな色形の酒瓶が行儀よく並んでいた。
生涯でもう二度とないドラマティックな偶然を目の当たりにした、
BAR・Remembrance(リメンバランス)。
こんなにも大切な想い出に彩られているこのバーなのに、訪れたのは今日が二度目。
彼と出会った日から一度も来ていないなんて、それ自体もかなりの驚きだ。
彼がそっとドアを開ける。その後ろで、テラス席に舞い落ちている枯れ葉の音を
目で追う私。
一気に懐かしさが甦ってきた。
「いらっしゃいませ」
バーテンの声が静かに響く。お好きな席へと言われ、迷うことなくカウンターへと向かう。
二人並んでスツールに腰かけてから、壁の水槽が無くなっていることに気付いた。
あの時、私は一人でこの店に入り、カウンターに座った。
バーテンの背中越しに壁一面の大きな水槽があり、
色鮮やかな魚たちが優雅に泳ぐ姿を見せていた。
一人の寂しさ、いえ、ここに来た理由をも紛らわせてくれた。
思い出の一部と言ってもいいその水槽は取り外され、
鏡の壁の前にいろんな色形の酒瓶が行儀よく並んでいた。