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あの時、あのBARで
第2章 BAR・Remembrance
「熱帯魚、いなくなっちゃったね。雰囲気も少し変わったかな」
「水槽がなくなったことしかわかんない。だって、一度しか来ていないのよ?それに」
そこまでも小声ではあったが、さらに声を平たくして付け加えた。
「バーテンさんもあの人だったかどうか・・」
覚えていない。かけ離れた年齢ではなさそうだが。
あの時のバーテンは、歳の頃なら50そこそこ、くらいだったろうか。
かなりのベテラン、という印象だ。そしてなにより記憶に残っているのは、
私たちの、にわかには信じられないような偶然を目の当たりにした時の驚きの表情と、
彼からのワインのプレゼントだ。
「あの時の人ならお礼言いたいけど・・3年半も経ってたら覚えてないよね」
私は膝の上の紺色のバッグをぐっと抱えた。
このバッグがもたらした、私と夫・雅也の出会いのドラマをかみしめながら。
「水槽がなくなったことしかわかんない。だって、一度しか来ていないのよ?それに」
そこまでも小声ではあったが、さらに声を平たくして付け加えた。
「バーテンさんもあの人だったかどうか・・」
覚えていない。かけ離れた年齢ではなさそうだが。
あの時のバーテンは、歳の頃なら50そこそこ、くらいだったろうか。
かなりのベテラン、という印象だ。そしてなにより記憶に残っているのは、
私たちの、にわかには信じられないような偶然を目の当たりにした時の驚きの表情と、
彼からのワインのプレゼントだ。
「あの時の人ならお礼言いたいけど・・3年半も経ってたら覚えてないよね」
私は膝の上の紺色のバッグをぐっと抱えた。
このバッグがもたらした、私と夫・雅也の出会いのドラマをかみしめながら。