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マスタード
第1章 はじめての単身赴任
「七滝中学への異動を命じる」

中学教師の天宮奏(あまみやそう)に異動辞令が渡されたのは、一年生の頃から教えてきた教え子たちが無事に巣立って行った春のこと。

奏の担当科目は国語だが、吹奏楽部の顧問としての方が知名度が高い。

七滝中学は同じ県内だけど、とても通勤はできない遠くの海と山に囲まれた田舎の町にある中学である。

当然に単身赴任となるので、少し前に内々に打診があったのを承諾したうえでの辞令だった。

七滝中学の吹奏楽部は少し前までは全国大会にまで行ける名門だったが、最近はあまりパっとしなくなっていた。そのテコ入れに天宮奏先生に白羽の矢が立って、単身赴任にはなるが2年間ぐらい行ってもらいたいという話だった。

2年か、もっと長い期間でもいいのにと思いつつも単身赴任できるというのは願ってもないことなので奏はすぐに引き受けることを決めたのだった。

ちなみに、働き方改革というものは教師の世界も例外なく影響を及ぼし、部活の顧問を持っている先生は土日も休めないのが問題視されて土日の部活の指導を地域の有識者に委託したり、家族と離れての単身赴任を長期間させないなど大きく変わってきている。

七滝中学の吹奏楽部が弱体化したのもこうした働き方改革によって顧問が替わったりした影響もあるのかも知れない。

家に帰ると妻が上機嫌で夕飯を作っていた。
奏が単身赴任を決めてからは機嫌がいい。
この妻とはもう長い間家庭内別居で、殆ど口も利いたことがないし、珍しく妻が何か言ってくる時は必ず揉め事が待っている。

妻は常に誰かを憎んでいないと自分が保てない、ある種の精神異常者だ。
元々は祖母を憎んでいたのだが、自分も家族とは折り合いがいい方ではないので、そういうこともあるかと気にしないで結婚したのだが、子供がまだ小さい頃に妻の祖母が亡くなると、今度は奏の母親を憎むようになり、それに連られるように奏のことも憎むようになっていって家庭内別居となったのである。

この妻からは逃れられるのは精神的には良いことなのも単身赴任を承諾した大きな理由だから2年と言わずに長期間でもいいと思っているのである。

妻の方も会話はないものの、早く出ていけとでも言っているように見え見えに上機嫌である。

「わんわん」と愛犬のジョリーがなついてくる。

「お~、よしよし」と奏は頭を撫でてあげる。

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