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マスタード
第4章 運命の出会い
かつては親友リサの恋人だからと諦めた奏がこの街に住んで目の前に現れるとはキセキとしか言いようがない。

あの時だって親友のリサを助けてあげたい気持ちもあったけど、奏と一緒にいられるから動物園や水族園に行くことも引き受けた。

2回の失敗で男なんてどうなるか分からないと学んだはずなのに奏なら大丈夫だと信じられる気がする。

「ちょっと積極的過ぎたかしら」

とまだ奏とのキスの感触が残っている唇を指でなぞってみる。

「やっぱりあたしのこと欲しいんじゃん」

抱擁した時に当たった硬いモノの感触を思い出すと嬉しくなってくる。
久しぶりに感じた硬い感触は生々しくて奏が女として自分を求めてくれているのを感じていた。

「もう、奏ちゃんのバカ、あんな生々しいモノを」

奏に抱かれたい気持ちでいっぱいになって愛美は布団の中で胸や女の部分をまさぐった。

女は男と違って自慰やセックスをしなくても平気に生きていける。
愛美は長い間自分が女であることを忘れて陽葵たちの母親として生きてきた。

それなのに奏との出会いで眠っていた女が目覚めてしまった。

「ああっ、ああっ」

隣には陽葵が眠っているし、同じ家には母親もいる。愛美は声を押し殺して静かに絶頂に達した。

「はあっ」


絶頂に達してしばらく余韻に浸ると声を押し殺したまま深いため息を吐いた。
40歳を過ぎた女が子供が寝ている隣で何をやってるんだと思うと空しくなる。

「もう、奏ちゃんのせいだからね」

責任を取って今度逢ったら抱いてくれるかなと思ったが、やっぱりこんな体は見せたくないなと自分の体を見てまたため息を吐いた。
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