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マスタード
第7章 奏ちゃんパパは単身赴任
「性悪女と結婚してしまったことに関してはボクも面目ない」
と奏がバツが悪そうにしているので
「ごめん奏ちゃん・・そっか、最初は良くても豹変することもあるのよね」と愛美は慌てて言った。
そういえば自分のふたりの元夫も豹変したんだと愛美は思った。
奏は、話を聞いて自分の悪妻より上もいるのか、いやいや、同レベルだと思ったり、子供まで性悪にならなくて自分はまだ幸せだとも思っていた。
お互いが思っていることを何となく察してふたりは顔を見合わせて笑った。
「あたしたち似た者夫婦かもね」
「そうだね。石垣さんは自分と同じものを感じたから愛美やボクとも仲良くしてくれたのかも」
ふたりはまた微笑みをかわして石垣に献杯をした。
自分にもしものことがあったらを考えていたのだろう。石垣は遺言状を遺していた。そこには『囲炉裏』は愛美に譲るということだけが書かれていて、他の財産や妻娘のことは何も触れていなかったという。
妻も娘たちも最初は愛美が石垣の愛人だと思い込んで『囲炉裏』も取り上げようと息巻いていたが、『囲炉裏』を見るなり、こんなカネの足しにもならないような店は要らないと悪態をついて『囲炉裏』は迷惑なものでも押しつけるように愛美に渡したとのこと。
「そんな人たちと対峙したんじゃあ大変だったね。酷いヤツらだ。お疲れ様」と奏は愛美にもビールを注いで何回目かの乾杯をした。
「本当に疲れちゃった。ねえ、あたしを労って。やっぱり欲しい。クリスマスでもあるからいいでしょ」と愛美は奏に身を任せた。
今夜は石垣を弔うからやめておこうと決めていたのだが、愛し合うふたりはお互いを求め合わずにはいられなかった。
陽葵が起きないようにあまり激しくはならないように愛し合って、余韻に浸るように裸で抱き合って微睡んだ。
「命ってはかないものだね」
旅館のオーナーや石垣、大切な家族のような人たちが亡くなって奏は命のはかなさを感じていた。人はこんなにあっけなく死んでしまうのかとも思った。
「ほんと、あっけないわよね、人生なんて」
「ボクもいつ消えるか分からないけど、ボクなんかが生きていることに意味があるとすれば、命のある限り愛美と陽葵を愛している」
「嬉しい。あたしも、命のある限り奏を愛しているわ」
と奏がバツが悪そうにしているので
「ごめん奏ちゃん・・そっか、最初は良くても豹変することもあるのよね」と愛美は慌てて言った。
そういえば自分のふたりの元夫も豹変したんだと愛美は思った。
奏は、話を聞いて自分の悪妻より上もいるのか、いやいや、同レベルだと思ったり、子供まで性悪にならなくて自分はまだ幸せだとも思っていた。
お互いが思っていることを何となく察してふたりは顔を見合わせて笑った。
「あたしたち似た者夫婦かもね」
「そうだね。石垣さんは自分と同じものを感じたから愛美やボクとも仲良くしてくれたのかも」
ふたりはまた微笑みをかわして石垣に献杯をした。
自分にもしものことがあったらを考えていたのだろう。石垣は遺言状を遺していた。そこには『囲炉裏』は愛美に譲るということだけが書かれていて、他の財産や妻娘のことは何も触れていなかったという。
妻も娘たちも最初は愛美が石垣の愛人だと思い込んで『囲炉裏』も取り上げようと息巻いていたが、『囲炉裏』を見るなり、こんなカネの足しにもならないような店は要らないと悪態をついて『囲炉裏』は迷惑なものでも押しつけるように愛美に渡したとのこと。
「そんな人たちと対峙したんじゃあ大変だったね。酷いヤツらだ。お疲れ様」と奏は愛美にもビールを注いで何回目かの乾杯をした。
「本当に疲れちゃった。ねえ、あたしを労って。やっぱり欲しい。クリスマスでもあるからいいでしょ」と愛美は奏に身を任せた。
今夜は石垣を弔うからやめておこうと決めていたのだが、愛し合うふたりはお互いを求め合わずにはいられなかった。
陽葵が起きないようにあまり激しくはならないように愛し合って、余韻に浸るように裸で抱き合って微睡んだ。
「命ってはかないものだね」
旅館のオーナーや石垣、大切な家族のような人たちが亡くなって奏は命のはかなさを感じていた。人はこんなにあっけなく死んでしまうのかとも思った。
「ほんと、あっけないわよね、人生なんて」
「ボクもいつ消えるか分からないけど、ボクなんかが生きていることに意味があるとすれば、命のある限り愛美と陽葵を愛している」
「嬉しい。あたしも、命のある限り奏を愛しているわ」