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マスタード
第7章 奏ちゃんパパは単身赴任
人の死を看取るなんてことは滅多に経験することではない。目の前で命が消えていく等という恐ろしい経験は初めてのことだった。

愛美の父親も亡くなっているが、その時は病院から連絡があって駆けつけたので死に際は看取ってはいない。

奏は同じだと思った。奏も父親を亡くしているが、その時も病院から連絡があって駆けつけた。ジョリーの前の犬は夜寝ているうちに逝ってしまった。目が覚めると隣で犬が冷たくなっていた。死期を悟って最後に奏と一緒にいたくて来てくれたのだろう。気づいてあげられなくて悲しみの渦に呑まれた。あの時の悲しみ、絶望・・その何ともいえない感情を奏は思い出した。

「呼んでくれたらよかったのに」

奏は震える愛美を抱きしめた。奏に抱かれて安堵したように愛美の震えは治まった。

「呼べないよ・・呼んだら奏ちゃんのことだからどんな無理をしても来ちゃうでしょ」

確かにどんな無理をしても来てしまったと思う。
そんな大変な時でも自分を気遣って迷惑をかけないようにしてくれた愛美が愛しくてぎゅっと抱きしめた。

「あっ、ずるい、ひまりも~」
と陽葵がふたりの間に入ってきたので、奏は愛美も陽葵もぎゅっとした。

夜は遅かったので陽葵は奏のぬくもりの中で幸せそうに眠ってしまった。
クリスマスパーティーは楽しかったし、奏にもらったクリスマスプレゼントを嬉しそうに抱きしめていた姿がとても可愛かった。

陽葵に布団をかけてあげると、仏壇も何もないけど奏と愛美は石垣に献杯をした。

石垣の遺族の妻や娘たちはとてもあの石垣の家族とは思えないぐらいに最悪な人間だったらしい。石垣を惜しんだりする様子は全くなく、カネだ財産だと価値があるものは根こそぎ持っていこうとまるで亡者のようだった。しかもそれぞれの仲が悪過ぎて絶えず言い争いをしてあさましかったという。

こんな人たちじゃあ石垣が何もかも捨てて逃げてきたのも無理はない。いや、よく定年退職するまでこんな人たちと一緒の生活を我慢したと石垣に同情すらしたという。

娘2人はもういい歳なのに一緒に住んでいるらしく、こんなに性格が悪いんじゃあとても嫁になんて行けないと思ったとのこと。

「この母親にしてこの娘ありだと思ったわ・・ったく、石垣さんもよくあんな性悪女と結婚したもんだわ」
と愛美はその時の様子を思い出して深く溜め息を吐いた。

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