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マスタード
第8章 別離
翌年には全世界規模で未曾有の危機がやってきた。
いや、それは奏が最後にあの街に行った頃から着々と足音を忍ばせていた。

新型の凶悪なウイルスが猛威をふるって次々に人の命を奪っていく。著名人も次々に命を奪われた。

人が集まると感染の危険が高まるということで、不要不急の外出は禁止され、特に県を越えての移動は制限をされた。

飲食店、スポーツ施設、ライブハウス等は営業の自粛を求められて廃業に追い込まれる店も多かった。
最後まで抵抗を続けたパチンコも世論に叩かれてついに自粛を受け入れた。

奏は愛美や陽葵のことばかりが心配になったが、下手に動くこともできずにいた。『囲炉裏』は大丈夫なのだろうか?
あの街のような観光地では他県狩りや営業している飲食店への心ない攻撃が横行している。

このウイルスでは多くのものを失ったが、人は心までも失ってしまった。

いつもはLINEで陽葵のことや自分のことを教えてくれたり写真を送ってくれた愛美からの連絡が途絶えた。
大丈夫なのか安否確認も含めて連絡をしてみたが、なかなか既読にならない。

まさか店がつぶれて生活にも困り・・と最悪の事態を心配したが、少し時間はかかったが既読にはなってくれたので、とりあえず生存していると、既読になったLINEの画面を見て涙を流した。

店が営業できないので、給付金の申請をしたり、アルバイトでもいいから何か仕事を探したりと忙しくて奏に連絡をするどころではないのかも知れない。

既読が遅かったり返信もないというのはそういうことだろうと察すると、こんな時にしつこく連絡をしたりするのは迷惑だと思って落ち着くまでは控えることにした。

それにしても世の中は狂っている。
飲食店で感染したりクラスターが出たとなれば、まるで犯罪者のように飲食店を目の仇にする。
あの街のような観光地で働くところといえば飲食店、旅館等のダメと言われているところばかりじゃないか。

それに、『愛』、『囲炉裏』と愛美がやってきた仕事といえば飲食店しか見たことがない。ホテルでアルバイトをしたことがあると本人から聞いたこともあるが、やはり今の世の中ではダメな業種だ。

愛美のような弱者をいたぶるような世の中を奏は恨んだ。

各地で皆が楽しみにしていたお祭りやイベントも軒並み中止になっていった。
愛美がいるあの街のお祭りも当然の流れで中止になった。
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