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恋 と 愛 と 思い出 と
第1章 1st 美月と朝陽

腕を掴む朝陽の手に力がこもるのがわかった。


「…ごめん。話したくないかもしれないけど、離せない。俺は話があるんだ。聞いて欲しいことがある。」

ーーあ、真剣な話をするトーンだ。
低く、耳に響く声。

別れ話のときに聞いた、あの声。



「…わ、かった。逃げないから離して。」

わたしが逃げないことがわかったのか、スッと腕が離された。
視線を感じて、やっと、顔を上げた。
目を合わせることができた。

ーー、ああ、かわらないな。

二重なのに切長な目、整った眉、高く通った鼻筋に、薄く口角の上がった唇。こんな綺麗な顔の男だったっけ。あ、すこしシュッとしたのかも。


「落ち着いて話せるところ、行こう。美月、どこか場所、知ってる?」

やわらかい声が降ってきた。わたしを落ち着かせようとする声。
ああ、わたしはこの人の声の使い方も覚えてたんだな。
そんなことをぼんやりと考えながら、あたりを見渡す。


華の金曜日、夜。
お店はどこだっていっぱいだ。個室なら尚更。
カフェ?目立って仕方ないよな…
会社絡みとか知り合いにも会いたくないし…
じゃあ…


「…うち、じゃまずい、ですか?」
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