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BAR・エロスは今も・・
第4章 美紅 解放希望
二杯目には聞きかじりで覚えたカクテルを頼んでみることにした。
「次はシンガポールスリング、お願いします」
初めてこの店のカウンターに座り、気取って注文してみたものの、
実はビールを頼みたかったことを見抜かれて
それっきりになっていたこのカクテルを一度は飲んでみたかった。
「かしこまりました」
シェイカーを振るバーテンの姿を間近で眺める。腕の動き、かすかに揺れる髪。
グラスに注がれた淡いピンク色の液体に、女子のテンションは上がる。
一口含むと、フルーツの味に誘導されるように喉を通り越していく。
「甘いカクテルは飲みやすいから気をつけないと。それに今夜は交渉を成立させて、
エロスの世界を味わうんでしょう?」
エロスの世界・・その言葉は美紅の全身を包み込む。
職場の先輩に教えてもらった、不思議で魅惑的なこのバーでの体験を、
自分も味わってみたい。
凄腕の、このイケメンバーテンに運命を託す、くらいの気持ちで
再びあの重い扉を開けたのだから、
今夜こそは是非、官能に溺れたい・・・
「はい、エロスの世界を味あわせて下さい。よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げる美紅を、かわいいオンナだ、と
紫苑も久しぶりに男の本能を膨らませた。