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BAR・エロスは今も・・
第5章 美紅 マッチングは突然に
美紅が店に一番乗りしてから1時間の間に、ぽつぽつと客が訪れ、
女性側男性側共に数人の客が酒を楽しみながらそれぞれの思惑を描くように
向かい側の席へと視線を泳がせていた。
手がすいた紫苑が美紅のもとへと戻ってきた。
美紅も、紫苑とのおしゃべりに満足し、なかば目的を忘れかけていたのだが、
唐突にその時がやってきた。
「美紅さん、交渉をお願いしたいというお客様がいらっしゃいますが、いかがですか?」
えっ?と美紅は小さく叫んで紫苑を見つめた。
彼の動きを目で追う事が、一人でグラスを傾けている間の時間つぶしだったのだが、
いつそんな相手を見つけていたのか全く気が付かなかった。
彼のマッチングは百発百中、とママさんが言っていたことを思い出す。
あのバーテンの見る目は確かなようだから、彼が見立てた男なら、
と半分くらいの安心感を抱いて交渉相手だという男に顔を向けた。