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BAR・エロスは今も・・
第5章 美紅 マッチングは突然に

「私、自分のすべてを解放したいんです」
グラスの中のカクテルは残りわずか。飲み干してしまおうかと手を伸ばしたが、
空けばもう一杯飲みたくなる。そろそろアルコールを控えた方がよさそうだと、
美紅はその手を引っ込めた。
その動きを見送ってから、男はどういう事かと小首をかしげた。
「一応、彼氏はいるんです。うまくいっていないわけでもない・・
ただね、彼とは少し、ズレがあるみたいなの、あっちの」
ああ、と男は大袈裟なくらい肯いて、最後にはフフッと笑って見せた。
「ありがちな話だよ。セックスの相性っていうか、思い入れとかがなんか違うってこと」
察しがいいのね、と美紅もつられてフフッと鼻に皺を寄せて口角を上げる。
こういう、セックスに関するあるあるに即対応できる人間でよかった、
さすがバーテン紫苑のマッチングだ。
「私はもっと激しく燃えたい。でも彼は神聖な儀式みたいに丁寧すぎて。
みんなこんなもんなの?って思った時に、じゃあ他の人と試してみたらどうかって、
職場の先輩に薦められたの。で、このバーの事を教えてくれたんです。
先輩は、実は結婚してるんだけどここで相手をみつけて何度か・・
私の場合は一応単身者なんだから、別に問題ないじゃない?というわけで、
今夜、二度目にしてようやくマッチングが成立したの」

