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スカーレットオーク2
第6章 6 病気
「ただいま」

 仕事帰り直樹は実家に雨具を取りに寄った。

「あら、直樹」

 慶子が慌ただしそうにうろうろしている。

「レインコート取りに来たけど、どうかしたの?」

「聖乃がおたふく風邪なのよ。今熱出して寝てるの」

「ああそうなのか。大変だね」



 直樹は少しだけ聖乃の様子を覗きに行った。

頬が腫れて赤くなっているが大人しく眠っている。

そばに居た颯介が直樹に気づく。

「あ、直樹来てたのか」

「うん。ちょっと物取りに」

 颯介が立ち上がって「子供の病気ってかわいそうだよなあ」としみじみ言う。

「自分が病気する方が随分ましだね」



 颯介は静かにふすまを閉める。

「そういや。お前のおたふくひどかったよな。高校だっけあれ」

「ああ。入院したのって後にも先にもあれだけだったよなあ」

 ちょうど早苗がやってきて口を挟む。

「今の話ほんと?高校生にもなっておたふくやったの?」

「ああ、義姉さん。うん。そうだよ。忘れてたけどなんか重くて入院までさせられた」

「あのね。男の人が大人になっておたふくやると不妊症になるかもしれないのよ。直君、結構重症だったみたいじゃない。一回検査したほうがいいわよ」

「平気だろ。大げさだなあ」



 暢気そうに言うが颯介に早苗はより真面目な顔をする。

「今、若くてもなんだか不妊症が増えててね。男女問わず。これから子供を持つこと考えるなら早いうちにしたほうがいいと思うのよね。検査なんてすぐ済むし」

「そんなもんか。時代かね」

「うん。同僚がまだ三十歳前なのに不妊治療してるよ。もう三年も」

 直樹は聞きながらぼんやり検査のことを考えた。

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