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スカーレットオーク2
第9章 9 ナチュラル
 少し木々が伐採され明るい陽射しがさす森の中で先輩の望月と弁当を広げる。

緋紗の焼いた荒っぽくて塩辛い卵焼きを微笑みながら見ていると「直樹。ちょっと元気出てきたみたいだな」と望月が話しかけてきた。

「ええ。まあ」

 答えた後で卵焼きを口に放り込んだ。



「お前は素直だから何かあったらすぐわかるな」

 笑って言う望月に直樹は今まで『何を考えているのかわかりにくい』という真逆の感想の方が多かったので『わかる』という言葉に改めて驚く。

「実は……」

 直樹は自分が『男性不妊症』であることを告げると望月はうんうん頷きながら聞き、そして話し出した。

「俺んとこも結婚して三年くらい子供ができなくてなあ」



 遠い昔を懐かしむように望月は言う。

当時は今のように原因がはっきりつかめず、望月の妻が周囲からの憐憫、同情、家族からは蔑みの目などを受け非常に辛い思いをしたらしい。

「俺は子供はどっちでも良かったんだ。嫁っこと仲良く出来りゃあな。でもあいつは子供が欲しかったみたいだし。周りもつらく当たってなあ。結局子供ができたから嫁っこも周りもほっとしたけどな。あんときは辛かったな。何が辛いって嫁っこが悪いって言われるんだよ。今じゃ何が原因かわからずじまいだがな。俺のせいかもしれないのに」

 思い出して少し怒り出したので直樹はなだめた。

大人しく神妙な顔をして聞いている直樹に望月は続ける。

「欲しけりゃがんばれよ。でも今はいようがいまいが別れちまう奴はすぐ別れちまうしな。嫁っこを大事にするのが一番だな」

「そうですね。僕もそう思います」

 直樹は望月の言葉を噛みしめた。

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