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スカーレットオーク2
第10章 10 小夜子
夏の繁忙期も終わり、少し秋風を感じるようになってスカーレットオークがほんのり紅葉し始めた頃、小夜子が倒れた。
「あら。来てくれたの」
少し痩せた小夜子が見舞いに来た直樹に笑いかけた。
身体を起こそうとする小夜子を直樹は支えた。(軽い)
倒れたときにはもう手遅れで癌はまだ若い小夜子の身体をあっという間に蝕んだ。
延命治療は拒み、最後の時間は自宅で過ごしたいという強い希望で退院してきたのだ。
ペンションはしばらく休業する。
小夜子は反対したが和夫は仕事をする気分にはなれなかったし、笑顔で接客することなど到底無理だった。
今は緋紗の陶芸教室だけ機能している状況だ。
緋紗も陶芸教室を休もうかと提案したが、子供の明るい声や賑やかさがペンションを明るくするし、幼い和奏への暗い不安な気持ちを感じさせたくないという希望から休むことなく続けられている。
「和夫はああ見えてデリケートな人でね」
相変わらず女王様として凛とした態度を崩さず、小夜子は微笑みながら言った。
「男はみんなデリケートですよ」
ポツリという直樹に「そうね」 と微笑んで返した。
「あら。来てくれたの」
少し痩せた小夜子が見舞いに来た直樹に笑いかけた。
身体を起こそうとする小夜子を直樹は支えた。(軽い)
倒れたときにはもう手遅れで癌はまだ若い小夜子の身体をあっという間に蝕んだ。
延命治療は拒み、最後の時間は自宅で過ごしたいという強い希望で退院してきたのだ。
ペンションはしばらく休業する。
小夜子は反対したが和夫は仕事をする気分にはなれなかったし、笑顔で接客することなど到底無理だった。
今は緋紗の陶芸教室だけ機能している状況だ。
緋紗も陶芸教室を休もうかと提案したが、子供の明るい声や賑やかさがペンションを明るくするし、幼い和奏への暗い不安な気持ちを感じさせたくないという希望から休むことなく続けられている。
「和夫はああ見えてデリケートな人でね」
相変わらず女王様として凛とした態度を崩さず、小夜子は微笑みながら言った。
「男はみんなデリケートですよ」
ポツリという直樹に「そうね」 と微笑んで返した。