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スカーレットオーク2
第11章 11 動揺
 大事な人をなくす恐怖に緋紗はすっかり恐れおののいていた。

直樹は自分の父親を亡くした日のことを思い返してみたが緋紗ほどのダメージは受けなかったと思う。

母のダメージは計り知れないが。

ただ小夜子を失う和夫のダメージを想像して辛くなった。

そして緋紗を失うことを考えたとき自分の心の大半も失くすのだろうと想像した。



 しばらくの沈黙ののち直樹が和歌を口にする。

「君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな」

「百人一首?」

「うん。君のために長生きしたいって歌」



 少し落ち着いた直樹は続けて話した。

「緋紗は俺がいなくても子供がいたらなんとかやっていけそう?一人で大変なら再婚してもいいか。逆に緋紗がいなくなって俺が再婚することもあるかもしれないね」

 全く想像もしなかったことを直樹に言われて緋紗は動揺する。



「再婚……?」

「現実感のある話だろ?」

 緋紗は冷たい顔で眼鏡を直しながら言う直樹に抗議した。

「そんな……。ひどいことを言わないでください」



 大きな目に涙をためている緋紗を見つめながら

「他の女を抱きたいと思わないし緋紗が他の男に触れられるなんて想像もしたくない。だから安心のために保険を掛けるようなことは考えないで欲しい」

 ゆっくりはっきり言った。

「ごめんなさい」

 緋紗は将来への不安のせいで目の前の愛を見失いそうになった自分を取り戻す。



 緊張を解いた直樹は自分の好きな歌を一首口ずさんだ。

「山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり」

「どういう内容ですか?」

「俺の腕の中で喘いでいる緋紗って言う歌だよ」

「なんですか。それ」

 目を丸くした緋紗にまた口づけをして直樹は押し倒す。

緋紗は深い森に抱かれるような気持ちになって安心して直樹の香りを吸い込んだ。
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