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スカーレットオーク2
第12章 12 和夫
 空が高く青く澄んでこれ以上ないくらいの快晴だ。

こんな素晴らしい秋晴れの日、小夜子の葬儀は行われた。



 小夜子の親族は勿論のこと生前に交流のあった人たちが次々になだれ込むようにやってきた。

緋紗はこんなに大勢の人がやってくる葬儀を初めて見る。

悲しみよりも小夜子の今更ながらカリスマ性、人を引き付ける魅力に感嘆するのだった。

音楽関係者もそうだが福祉施設関係者も多く、全ての人が心から小夜子の死を悼み涙を流していた。



 小さな和奏は少しやつれた和夫の横で、しっかりとした態度で挨拶をする人たちを見つめている。

三歳になった和奏はすでに小夜子の堂々とした風貌と態度を受け継いでおり、生まれながらの姫、いや女王だった。

この大勢の人たちがみな、小夜子の崇拝者であることを和奏は体感的に理解をしているようで、自分の母親の圧倒的存在を誇らしく思っているような様子だ。

三歳の子供が『死』についてどんな理解があるかわからないが、和奏を見ると小夜子がどれだけ素晴らしいかがよく分かる。

 細い白い煙になった小夜子を見届けて緋紗と直樹は葬儀場を後にした。

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