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スカーレットオーク2
第12章 12 和夫
 一週間ほど緋紗は陶芸教室を休みペンションの掃除などをした。

ペンションはここ一か月休業をしていたのでなんとなく薄っすら埃がたまり暗い色合いになっている。

営業は小夜子の四十九日を済ませたら再開する予定だ。



 葬儀のあと、和夫は和奏を連れて小夜子の実家に訪れていた。

男手一人で和奏をどうするかという親族会議がなされたようだ。

 小夜子の両親は忘れ形見の和奏を手元に置いておきたい希望と、男一人でまともに育て上げることなどできないという理由で和奏を引き取ろうとした。

しかし和夫は譲ず、和奏もまた和夫から離れることを拒んだ。



 今日話し合いを終えて帰ってくる予定だ。

直樹も少しだけペンションの営業を手伝うつもりでいるようで、もうすぐ仕事を終えてやってくるだろう。



「ただいま」

 先に和夫と和奏が帰ってきた。

「お帰りなさい。お疲れさまです。和奏ちゃんおかえり。疲れたね。ちょっと休む?」

「ん」

 和夫に抱かれて目をこすっている和奏を受け取って小夜子の部屋へ連れていき横にした。

戻ると直樹がやってきていた。



「ああ。直樹さん。おかえりなさい」

「ただいま」

「今お茶いれます」

 和夫が「すまんな」と、かすれた声で言う。

緋紗も直樹もかける言葉が見当たらなかった。

三人で黙ってお茶を啜る。

ここに小夜子がいないのが不思議な感じだ。
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