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第19章 １９　名前

「そろそろ名前考えなきゃ」

　忙しい毎日の中、緋紗は産まれてくる赤ん坊の名前を考えている。

ペンションは来月から産休に入ることにした。

夏は学生のバイトが見つかりやすいためちょうど良かった。

陶芸教室の方も半年間休むことにしている。

小夜子の出産から育児を見てきた緋紗はなんとなく彼女と同じようなスケジュールを辿っていた。



　和奏がそばにやってきた。

「ひさちゃん、名前決まった？」

　弟だと思っている赤ん坊の誕生を和奏は楽しみにしている。

「うーん。なかなかいい名前うかばなくてね」

「ママ言ってたよ。男は優しいのが一番だって」

（優しいかあ。和夫さんは優しいもんね）

ぼんやりと名前が浮かんできた。

「そうだね。優しいのがいいね。ありがと。なんかいいのが浮かんできたよ」

　緋紗が和奏の頭を撫でると、ふふっと笑ってご機嫌でピアノのほうへ向かって行った。