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教えて、あなたのキモチ
第6章 まさかの遭遇
佳音と美和に指摘されて、意識するなと言う方が無理だ。
自分が汚してしまったものを返すだけ、と言い聞かせて、意を決してインターフォンを鳴らした。
だが、しばらく待っても静かなままだ。
(留守かな…お昼時だし出掛けてるかも)
くるりと方向転換した時、カチャリとドアが開く音がした。
振り返ると、篤哉さんがドアから顔だけを覗かせていた。
「何?」
「あの…遅くなってすみません。スーツ返しに来たんですけど」
「あぁ…サンキュ」
どこか様子がおかしい。呼吸が荒いし、目が潤んでいる。
「用事済んだなら帰れよ、寒い」
少し迷惑そうな表情で篤哉さんは私の手から紙袋を奪ってドアを閉めようとする。
瞬間、私は足先でドアの動きを一旦止めるとその内側に身体をすべりこませた。
「何やってんだおまっ」
「ちょっと失礼します」
言葉を遮って、背伸びをして篤哉さんのおでこに手をかざした。やっぱり熱い。
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