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教えて、あなたのキモチ
第8章 本心を知る時
「部屋上がっていけよ。この前の礼と今の詫びだ。お茶しか出ないけど」
「…はい」
心の準備が整わない内に814号室についてしまった。
「お邪魔します…」
「どうぞ。適当に座って」
コートとストールを脱いで背もたれにかけてから、黒い革張りのソファに腰を下ろす。
篤哉さんは暖房のスイッチを入れると、キッチンに移動してやかんにお湯を沸かしている。
やがてシュンシュンと湯気の立つ音が聞こえてきた。
どうしよう、落ち着かない。
イライラはどこかへ行ってしまったけれど、数日前気づいた自分の気持ちを伝えるべきか否か決心がつかないでいた。
それに、さっきの言葉。
『今は彼女と付き合ってる。お前に気持ちはない』
ミノリさんを追い払うための咄嗟の台詞だろうか。
秀一と出くわした時に篤哉さんを“フリ”に使ったけど。
真意は本人にしか分からないし。
そんなことを考えてる内に、ふわりとお茶の薫りがただよってきた。
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