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教えて、あなたのキモチ
第2章 商談のお供
なんとかしゃがみこむのが精一杯で、ギュッと目を瞑って迫り来る衝撃を予想したのだが。
「危なっ…」
―バサバサッ
眞鍋さんの声と、派手な音は耳に届いたのに、痛みはない。
(あれ…?)
そっと目を開くと、目の前に眞鍋さんの顔があった。
思いの外密着に近い状態に驚きながらも、必死にこの状況を把握する。
(…かばってくれたんだ)
「池澤さん、怪我ない?」
「大丈夫、です…」
「よかった」
フッと安心したような笑みを向けると、眞鍋さんはスーツの乱れを直しながら立ち上がった。
「普通届かなかったら脚立使うとか…誰かに頼むとかするだろう?」
「…ごもっともです」
「じゃあ俺はこれで。はい、目当てのファイル」
「あ、ありがとうございます…」
後に残るのはブルガリの香りと少しうるさい心臓の音。
事務連絡以外で会話らしい会話をしたのは、今日が初めてかもしれない。
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