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大人が寝る前に読む物語
第2章 かぐや姫
・*:..。o○☼月の住人・*:..。o○☼


静寂の中
時折、響くのは行き交う人の衣擦れの音…


夜も更け──
外を見遣れば、輝くのは碧色に染まる美しき星…
──地球──
引力で引き合うあの星には感情を持つ人間が住んでいる。



この月に住まう住人に感情などは無い…
ここは煩悩のない、極楽のような世界

感情に支配されるなどありえないことだ


「かぐや……もう寝たの?」

「いえ…なんだか眠れなくて」

「そう……早く眠れるといいわね」


感情の起伏などまるでない世界──…
それが当たり前だと思っていたの


齢14になれば親が決めた相手と結婚をする。
そして子を作り、育てる


もう2ヶ月もすれば私も結婚をする
それもごく普通のこと…



その夜はあまりにも眠れなくて
そっと家を抜け出した


地球がよく見える小高い丘の上

地球というのは愚かな人間の住むところ。。。
煩悩に塗れ、感情に支配され争いを起こすなど愚の骨頂。

穢れた地球
これが私たち月の住人の常識


それでも碧色に染まるこの星はこの上もなく美しい


その時────
聞いたこともないメロディが風に乗って耳に響いてきた

なんだろう…

胸が苦しくなるような…
こんな気持ちは初めて

誘われるように、その声の元へ足を向ける


そこには
儚げな女の人が佇み……

先程から聞こえてくる歌を口ずさみながら
地球を見て涙を零していた

感情の起伏がない私達にとって涙を流すという行為は珍しい


私はその人から目が離せなかった…


「……あの…」

知らず知らずのうちに声をかけてしまっていたようで
その人は驚いて こちらを振り向いた


「その…歌…」

「……分からない…」


えっ……?

「分からないの?」

「そう…分からないよの…」


そう言いながらも頬を伝う涙は止まらない

「私には記憶がないの……」

「記憶が…?」

「そう……でも胸が疼くの…」

「……」

「地球を見ると胸が疼くの……」

胸が疼くなんて感情は知らない

「あなたは感情を持っているの?」

「……分からない…」

「……」

「私には記憶がないけど……親から聞いたことがある」

「何を?」

「私は昔……地球に行ったことがあるのだと…」

「え…地球に?」
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