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大人が寝る前に読む物語
第2章 かぐや姫
「そう…月に戻る時には地球にいた時の記憶は消されるのだと…」

「……地球にはどうして?」

「分からない……でも…」

「……?」

「あそこに大事な人がいるような気がしてならないの…」


そう言って地球を見ながら
また大粒の涙をこぼした


「記憶は消されたのに……
この歌と誰かを想う気持ちだけが残っているのよ…」


「…辛そうね…?」

「えぇ……とても辛い…会いたい…」

「誰に?」

「分からない…覚えていないけど無性に会いたい…」


涙を流す彼女をそっと抱きしめた

私の胸に縋るように抱きつき、泣き続ける彼女の頭を撫でながら
彼女をこんなにも泣かせる誰かとは……
胸が疼くとは……

そんな感情と言うものが知りたくなった


その日から私たちは度々会うようになった

小高い丘の上で地球を見ながら
知りもしない感情について憧れを語り合った


そして、彼女の歌う歌を聞いて一緒に涙を流した


そんなある日───

私は彼女と会うためにいつもの小高い丘の上に来ていた

しかし、その日彼女はそこに現れなかった───

次の日も……
その次の日も……



そして私は捕まった


罪名は
地球に憧れを抱いたこと





そして私は穢れた地球へと流罪となったのだった
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