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blossom
第8章 Love7:嫉妬する男
すると夫は私の脇を通り過ぎてクローゼットの前まで進んだ。

振り返られていたなら、もうそれはそれだ。
恥ずかしがることもない、夫婦なのだから。

ストッキングを履き終わり、後ろに立ち止まったままの夫の方を振り返ると息が止まった。

じっとこっちを見ていた。

その手には、冴島さんから贈られた薄ピンクのショーツがあった。人差し指に細い腰紐を引っ掛けて、ユラユラと揺らされていた。

「これどうしたの?」

「なんで…それ…」

「買ったの?」

瞬時に頭が目まぐるしく働く。しかし性能の悪いコンピューターのように動くだけ動いて肝心な答えは出てこない。

「それとも、貰った?」

「ママ友にね、メーカーで働いてる人がいて」

「へぇ」

「サンプル品だって…」

「いつも履いてるの?」

「まさか…貰ったばっかりだし…」

「その人、どんな人?」
目の高さまで持ち上げて、ショーツと私を見比べながら言う。

「りっくんのお友達のママで…」
友人の一人をイメージして説明した。

「今度履いたところ、見せてね」

「は、恥ずかしいから…」

「見せてね」
微笑みと共に私の目の前に突きつけられたそれを、両手で受け取る。

そして、夫は寝室を出ていった。
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