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blossom
第2章 Love1:ハジメテの男
すごく気持ちよかった。

きっとあれがイクということなのだろうと、思った。
あのまま続いていたら、の話だけれど。

でも、その沸点を超えそうになったときの怖さは拭えなかった。もしもあれ以上続いてしまったら、私の身体はどうなっていたのだろう。


私の隣に横たわり、私を抱きしめようとしている山根くんの腕から逃げて、床に脱ぎ捨てていた服を身につけ始めた。

「宮野?」

「とりあえず、実家に帰らないと。また母のところに行くにしても、このままじゃ…」
「俺んち、くれば?」

笑顔で断ったつもりだったけれど、上手く笑えていたかは分からない。

「じゃあ、またね」
そう言って、例のドアから外に出て車のエンジンをかけた。

もう太陽は登っていたし、清掃車も忙しそうに町を走り回っている時刻だった。





実家でシャワーを浴びながら、自分がこの一夜で犯してしまった罪を思い返す。

女として熱く求められた喜びと、その陰でズシンと胸にのしかかる虚しさ…


洗面台の大きな鏡の中の自分を見る。

心なしか、身体が潤っているような気がする。ところどころについた薄赤い跡が、そう思わせるのだろうか。


消えない虚しさはなんなのだろう。夫に求められないことへの落胆…とも違う気がする。
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