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blossom
第3章 Love2:知らない男
気取られないように、ふと視線をフロントガラス越しの外に向けると、万年筆らしきものがキラリと光った。
「あった!!」
冴島さんも私が指さした先を見たけれど、見えないようだった。
「見てきます、私」
一旦二人とも車から降りて、私だけそこへ向かう。やっぱりそうだった。
持ち手のところに〘Y. Saejima〙とお洒落な文字で彫ってあった。嬉しくて、ひょこひょこと少し足を引きずりながら冴島さんに近づく。
渡せるまであと2mというところで、またしても躓いてしまった。フワッとバランスを崩した直後、冴島さんの腕が抱きとめてくれた。
「あっ…りがとうございます…」
「いえ、こちらこそ、ありがとうございます。今回は間に合いましたね。」
また腕に掴まらせてもらったまま、冴島さんの車に向かう。
「すみません、もう絆創膏だけいただければ…」
そう言って冴島さんの顔を見上げた瞬間、唇が触れた。
二度ほど唇が離れたと思うけれど、私は何の反応も出来なかった。頭を軽く支えられながら、舌が私の唇を撫でるのを感じていた。
決して激しく掻き乱される訳でもなく、ただ優しく撫でられているような舌の動きだったのだけれど、全身が痺れるような力が入らないような、そんな感覚に襲われてしまったのだった。
「あった!!」
冴島さんも私が指さした先を見たけれど、見えないようだった。
「見てきます、私」
一旦二人とも車から降りて、私だけそこへ向かう。やっぱりそうだった。
持ち手のところに〘Y. Saejima〙とお洒落な文字で彫ってあった。嬉しくて、ひょこひょこと少し足を引きずりながら冴島さんに近づく。
渡せるまであと2mというところで、またしても躓いてしまった。フワッとバランスを崩した直後、冴島さんの腕が抱きとめてくれた。
「あっ…りがとうございます…」
「いえ、こちらこそ、ありがとうございます。今回は間に合いましたね。」
また腕に掴まらせてもらったまま、冴島さんの車に向かう。
「すみません、もう絆創膏だけいただければ…」
そう言って冴島さんの顔を見上げた瞬間、唇が触れた。
二度ほど唇が離れたと思うけれど、私は何の反応も出来なかった。頭を軽く支えられながら、舌が私の唇を撫でるのを感じていた。
決して激しく掻き乱される訳でもなく、ただ優しく撫でられているような舌の動きだったのだけれど、全身が痺れるような力が入らないような、そんな感覚に襲われてしまったのだった。