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blossom
第3章 Love2:知らない男
膝からカクンと崩れ落ちそうになる。力が入らず立っていられなくなりそうだ…。上唇の際を撫でられて、頭がぽーっとのぼせたようになってしまっていた。
(口紅が…ついちゃう…)
我ながら情けないけれど、頭をよぎったのはそんな間抜けなことだった。チュッと音を立てて舌を軽く吸われたとき、自分も舌を出していたことに気づかされた。
吸われた舌先を、冴島さんの舌がくすぐるように撫でる。私はもっと冴島さんの舌に触れたくて、もっと触れて欲しくて、ジャケットの襟元を掴んでしまっていた。
「んっ…んはぁっ…んぁっ…」
キスをしながら、声が出てしまうなんて初めてのことだった。そして、私から離れた唇が動くのに見とれてしまう。
「名前を…教えてください」
催眠術にかけられた被験者のように、ぽーっとなりながら答える。
「か…かつ…らぎです…」
「できたらファーストネームを」
ククッと笑う笑顔を見て、はっと我に返った。
「さくらっ…さくらです。」
「さくらさん、僕はあなたに一目惚れしてしまったみたいだ。」
王子様に初めて出会ったプリンセスの気分。
一瞬嬉しさで舞い上がったが、ガヤガヤという人の通る気配をすぐそこで感じた途端、現実へと引き戻される。
「私…困ります。」
腕から逃げ出ようと体の向きを変えようとすると、また唇が重なる。嘘みたいに身体から力が抜けて、握っていた拳もユルユルになった。
(口紅が…ついちゃう…)
我ながら情けないけれど、頭をよぎったのはそんな間抜けなことだった。チュッと音を立てて舌を軽く吸われたとき、自分も舌を出していたことに気づかされた。
吸われた舌先を、冴島さんの舌がくすぐるように撫でる。私はもっと冴島さんの舌に触れたくて、もっと触れて欲しくて、ジャケットの襟元を掴んでしまっていた。
「んっ…んはぁっ…んぁっ…」
キスをしながら、声が出てしまうなんて初めてのことだった。そして、私から離れた唇が動くのに見とれてしまう。
「名前を…教えてください」
催眠術にかけられた被験者のように、ぽーっとなりながら答える。
「か…かつ…らぎです…」
「できたらファーストネームを」
ククッと笑う笑顔を見て、はっと我に返った。
「さくらっ…さくらです。」
「さくらさん、僕はあなたに一目惚れしてしまったみたいだ。」
王子様に初めて出会ったプリンセスの気分。
一瞬嬉しさで舞い上がったが、ガヤガヤという人の通る気配をすぐそこで感じた途端、現実へと引き戻される。
「私…困ります。」
腕から逃げ出ようと体の向きを変えようとすると、また唇が重なる。嘘みたいに身体から力が抜けて、握っていた拳もユルユルになった。