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blossom
第19章 Love18:見られた男
次の日。
10時半、玄関を開けて夫が帰宅した。わざわざ仕事を抜けて、私と冴島さんが会うのを聞くためだ。

「もう出るでしょ?」

「本当に行くの?」

「行くよ」

夫は私の腰に手を回し、急かすようにして車に乗せた。


駐車場に着くと、冴島さんはまだ来ていなかった。そのままどこかに行くのかと思ったら、夫は車をパーキングに入れてしまった。
「えっ、どういうこと?ここにずっといるの?」

「だってママが通話を切っちゃうかもしれないしさ。」

私が睨みつけると、白状する。
「どうしても、見たくて。冴島がどんな奴か」


待ち合わせの時間が近づく。
夫は私のスマホを操作して、自分にコールすると、私のバッグのポケットに戻した。

「いいねぇ」
[ いいねぇ]
二重に聞こえる夫の声。

「ママ、愛してるよ」
[ ママ、愛してるよ]
そう言って、私を車の外へ送り出した。


車の出入りが何台かあり、三台分の空きができたところで冴島さんの社用車が入ってきた。軽く手を挙げて挨拶をしたあと、駐車したのはうちの車の隣のスペースだった。

運転席に夫の姿はなくなっていた。つい、キョロキョロしてしまう。

「どうしましたか?」
車から降りてきた冴島さんに声をかけられる。

「知り合いがいないか、気になっちゃって」

「で、いましたか?」

「…いえ……」

「それは良かった」
あろう事か、夫の乗った車の前で、冴島さんに抱きしめられてしまった。
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