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blossom
第22章 Love21:私だけの男
夫の予約してくれた旅館は、若いカップルの姿も見られるような人気の旅館のようだった。すべての部屋が離れになっていて、各部屋に専用の露天風呂がついているらしい。きっと夫なりに色々と調べて予約を入れてくれたのだろう。
好きな浴衣を選ぶよう言われ、薄紫色のすみれの柄を手に取ると、横から夫が別のものを勧めてきた。
「これがいいんじゃない?」
夫が渡してきたのは、薄桃色の桜の柄だった。
「これは、若い子じゃないと着られないよ」
「そういうものなの?」
「奥様、可愛らしいからお似合いになると思いますよ?」
仲居さんも後押ししてきたけれど、さすがにピンクは気が引けて、初めに選んだすみれの柄にした。
部屋に着くとすぐ、夫はお風呂に誘ってきた。
「見てご覧?すごいよ」
確かに、竹林の庭には燈籠が立っていて、暗くなってからも風情がありそうな贅沢な作りだった。
「食事はもう少し後でもいいよね?ちょっと言ってくる。」
夫は荷解きをしている私を置いて、部屋の外へ出ていった。
(食事の時間なんて電話で伝えればいいのに…。)
10分くらいで戻ってきた夫は、夜マッサージを頼んだからと言ってきた。てっきり夫のマッサージだと思っていたので、何の確認もしなかったのが間違いだった。
夫の画策など思いもしないほど、私はまだ夫の愛を誤解していたのだった。
好きな浴衣を選ぶよう言われ、薄紫色のすみれの柄を手に取ると、横から夫が別のものを勧めてきた。
「これがいいんじゃない?」
夫が渡してきたのは、薄桃色の桜の柄だった。
「これは、若い子じゃないと着られないよ」
「そういうものなの?」
「奥様、可愛らしいからお似合いになると思いますよ?」
仲居さんも後押ししてきたけれど、さすがにピンクは気が引けて、初めに選んだすみれの柄にした。
部屋に着くとすぐ、夫はお風呂に誘ってきた。
「見てご覧?すごいよ」
確かに、竹林の庭には燈籠が立っていて、暗くなってからも風情がありそうな贅沢な作りだった。
「食事はもう少し後でもいいよね?ちょっと言ってくる。」
夫は荷解きをしている私を置いて、部屋の外へ出ていった。
(食事の時間なんて電話で伝えればいいのに…。)
10分くらいで戻ってきた夫は、夜マッサージを頼んだからと言ってきた。てっきり夫のマッサージだと思っていたので、何の確認もしなかったのが間違いだった。
夫の画策など思いもしないほど、私はまだ夫の愛を誤解していたのだった。