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blossom
第23章 Love22 : 桂木さくらという女
そこからは、まるですべてが別の世界での出来事かと思うような感覚だった。
自分の対応はだいぶ冷静だったようにも感じる。
冴島さんの上から降りて、服を身につけた。
私たちが気づいたことを知った夫が、車の真横に移動して来るのもちゃんと見ていた。
時間にして五分もかかっていなかったのではないだろうか。
夫が私のスマホにGPSアプリを入れていることなんて気づいてもいなかったけれど、後でそれを聞いたところで驚くことも軽蔑することもなかった。
夫ならやりかねないと理解していたから。
着衣を正した私たちは、見つめあって頷いた。
2、3言葉を交わしたけれど、これからどんな修羅場になるのか、私には想像もつかなかった。
私が先にドアを開け、外へ出た。
夫は私の腕を引き寄せて、まるで自分の後ろに隠すようにしているかのようだった。
「子供たちは?」
「シートの場所に戻ってるよ」
夫は振り向きもせず答えた。
冴島さんが車の外に出てきた。
「初めまして、冴島と申します。」
「さくらの夫の桂木です。少し二人で話しませんか」
(こんな状況…ありえない…)
空から自分たちを見下ろしているような、不思議な感覚がしていた。夫が乱暴なことをするとは思わないけれど、何をするか分からない怖さがあった。
「さくらは子供たちのところに戻ってて」
「そんなっ…私っ…」
「大丈夫。僕も話したかったから。」
冴島さんはいつもよりも硬い表情だったけれど、微笑んで私を安心させようとしてくれていた。
「パパ…お願い…私も」
「さくら、行って」
私は何度も振り返りながら、子供たちの待つところへ向かった。
自分の対応はだいぶ冷静だったようにも感じる。
冴島さんの上から降りて、服を身につけた。
私たちが気づいたことを知った夫が、車の真横に移動して来るのもちゃんと見ていた。
時間にして五分もかかっていなかったのではないだろうか。
夫が私のスマホにGPSアプリを入れていることなんて気づいてもいなかったけれど、後でそれを聞いたところで驚くことも軽蔑することもなかった。
夫ならやりかねないと理解していたから。
着衣を正した私たちは、見つめあって頷いた。
2、3言葉を交わしたけれど、これからどんな修羅場になるのか、私には想像もつかなかった。
私が先にドアを開け、外へ出た。
夫は私の腕を引き寄せて、まるで自分の後ろに隠すようにしているかのようだった。
「子供たちは?」
「シートの場所に戻ってるよ」
夫は振り向きもせず答えた。
冴島さんが車の外に出てきた。
「初めまして、冴島と申します。」
「さくらの夫の桂木です。少し二人で話しませんか」
(こんな状況…ありえない…)
空から自分たちを見下ろしているような、不思議な感覚がしていた。夫が乱暴なことをするとは思わないけれど、何をするか分からない怖さがあった。
「さくらは子供たちのところに戻ってて」
「そんなっ…私っ…」
「大丈夫。僕も話したかったから。」
冴島さんはいつもよりも硬い表情だったけれど、微笑んで私を安心させようとしてくれていた。
「パパ…お願い…私も」
「さくら、行って」
私は何度も振り返りながら、子供たちの待つところへ向かった。