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blossom
第23章 Love22 : 桂木さくらという女
「ママだ」
愛花が私を指さして陸人に伝えている様子が見えた。
小さく手を振ると二人とも振り返してくれた。
(二人で何を話すんだろう…)
冴島さんとの関係を続けるということで一致していたのだから、裏切った訳ではない。
とは言え、感情はそんな風に割り切れるものではないことは分かっているのだけれど。
「パパは?」
「もう少ししたらくるよ」
「パパさー、別のとこに行こうって言ってたのに、急に走って戻ってきちゃってさぁ。」
「何かあったの?」
愛花にそう聞かれても答えようが無かった。
「ママ、花びら!」
陸人が私の髪についた桜の花びらを取ろうと近づいてきた瞬間、身体が固まってしまった。
私の身体には冴島さんの匂いが残っていたから。
陸人の手から花びらがヒラヒラと飛んで行くのを三人で見つめていた。
「桜ってさ、すぐ散っちゃうよね」
「だからいいって先生が言ってたよ。だから、余計にみんなが綺麗だって思うって。
美しい気持ちのまま消えた方が、冴島さんの心に留まっていられるのだろうか…
ふと過った考えを自ら鼻で笑ってしまう。
私たちのはそんな綺麗なものじゃない。もっとドロドロの欲にまみれた、人間の本能的なものだ。
冴島さんを心に思うと、中途半端になってしまった交わりを身体までもが思い出してしまった。
愛花が私を指さして陸人に伝えている様子が見えた。
小さく手を振ると二人とも振り返してくれた。
(二人で何を話すんだろう…)
冴島さんとの関係を続けるということで一致していたのだから、裏切った訳ではない。
とは言え、感情はそんな風に割り切れるものではないことは分かっているのだけれど。
「パパは?」
「もう少ししたらくるよ」
「パパさー、別のとこに行こうって言ってたのに、急に走って戻ってきちゃってさぁ。」
「何かあったの?」
愛花にそう聞かれても答えようが無かった。
「ママ、花びら!」
陸人が私の髪についた桜の花びらを取ろうと近づいてきた瞬間、身体が固まってしまった。
私の身体には冴島さんの匂いが残っていたから。
陸人の手から花びらがヒラヒラと飛んで行くのを三人で見つめていた。
「桜ってさ、すぐ散っちゃうよね」
「だからいいって先生が言ってたよ。だから、余計にみんなが綺麗だって思うって。
美しい気持ちのまま消えた方が、冴島さんの心に留まっていられるのだろうか…
ふと過った考えを自ら鼻で笑ってしまう。
私たちのはそんな綺麗なものじゃない。もっとドロドロの欲にまみれた、人間の本能的なものだ。
冴島さんを心に思うと、中途半端になってしまった交わりを身体までもが思い出してしまった。