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満たされないシェアハウス
第13章 満たされた寂しさ

「す…好き?」

「…うん」

「せやかて」

「ほんとなの。
ほんとに…冬馬のこと…
だ、だから
辰巳が
冬馬も琴姉も
ちゃんと言わないから
変なことになっちゃったんだーって
怒っちゃって
そ、それで、その
冬馬が電話に出ないから
ネカフェまで行ってこい!って
辰巳に言われて
それで、あっ、」

ほんまなんやな
ほんまやねんな!
うれしい
嬉しすぎる
死ぬほど嬉しい!!
たまらんなって
照れてる琴姉を抱きしめると
琴姉はやっと静かになった

「嘘やないねんな?」

「…う、うん」

「あぁ…
むっちゃうれしい
すげーうれしい
どないしよ
俺もう
死にそうや…」

そう言いながら
琴姉をぎゅうぎゅう抱きしめると

「と、冬馬、人が来る」

琴姉が慌てて
俺の背中を叩いた

急いで振り向くと
ちょうど酔っ払いが
路地に入って来たとこやった

「とりあえず
あっち行こ」

絡まれたらたまらん

そう思うた俺は
琴姉の手を握って
酔っ払いとは反対方向に歩き始めた

ええとこやったのに

「と、冬馬」

「ん?」

「あ、あのね、伝言があるの」

「辰巳から?」

「そう」

「なんて」

「あの…」

「うん」

「あの…」

「なんやねん」




「今日は
帰ってくるなって」


「俺も?」


「うん」


ほんま
ええヤツやな

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