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満たされないシェアハウス
第13章 満たされた寂しさ
side 琴音


『琴音』

その響きで
涙が溢れ落ちた

せっかく
大好きな冬馬に
唇を奪われたのに
それなのに
嬉しくてたまらなくて
涙が止まらなくて…
私は
上手くキスできないでいた

「大丈夫?」

「ごめん…嬉しくて…」

「ええよ。
涙止まるまで待ったる。
もう誰にも
邪魔されへんねんから」

あぁ…優しい声

Sなはずなのに
優しいんだよね

そんなところが
好きだよ、冬馬

冬馬は
さっき噴きこぼれた
残りのビールをゴクゴクと飲み干し
そして
私の頰の涙を舐めた

「全部舐めたい」

「え?」

「全部言うたら全部や」

すると冬馬は
服を脱ぎはじめ
あっという間に
全裸になってしまった

「ちょっと冬馬…」

「ん?」

「目のやり場に困るんだけど」

「困った顔も好きやで」

冬馬は
何一つ隠さないまま
冷蔵庫からミネラルウォーターを取ると
また
私の隣に腰を下ろした

冬馬の下半身は
少し
形を変えてて…
それなのに
そんなに
堂々としないでよ

とても
素敵な身体だけど
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