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スカーレットオーク3
第3章 3 実家
「優樹はお前にあんまり性格は似てないな。顔は似てるけど」

 颯介が言うと直樹も同意して言った。

「そうだね。孝太みたいに中学でサッカーしたいみたいだし。みんなとワイワイやるのが好きみたいだよ」

「お前は一人で居たがる方だったもんなあ。水泳部だったし」

「そういや。兄貴もサッカー部だったな。まあいいんだけどさ。はあ……」

「どうかしたか?」

「一人息子ってさあ。やっぱマザコンになりやすいのかね。もう小六なのに緋紗にべったりだよ」



 五十歳をすぎても好奇心旺盛な目をした若々しい颯介は目をキラキラさせながら「お前こそ相変わらず嫁べったりだな」と笑った。

直樹は当然だと言う顔をしてながら「べったりさせてもらえないんだよ。」 と不満を漏らす。

「あはは。中学入ったらマシになるって。そろそろ好きな女の子とかできるだろ。まあ男はそういうとこ遅いからさ」



 ふうっと息を吐き出す直樹に続ける。

「緋紗ちゃんモテモテだな。おまえと優樹と。そうそう孝太も好きだって言ってたぞ」

「それってモテてるのか」

「ああ、もう一人。ペンションでピアノ弾いてるやつ。あいつも緋紗ちゃんのファンだろ。あれは気をつけろよお?」

「えっ」

 直樹は意外なことを言われてドキッとした。

「すまんすまん。なんとなくだからさ」

 茶化したように言っているが颯介の勘の鋭さは半端ない。

今でこそ落ち着いているが若い頃から遊び歩いていた颯介は男女の機微に察しが良かった。
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