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スカーレットオーク3
第3章 3 実家
「沢田君か。まだ独身だったな……」
沢田雅人は緋紗がアトリエを借りているペンション『セレナーデ』でディナータイムにピアノの演奏を行っている。
オーナーのピアニストだった妻、小夜子が亡くなった後、小夜子を信奉していた沢田が演奏を引き継ぐことになったのだった。
本職は作業療法士で今年三十六歳になるはずだが浮いた話一つ聞いたことがない。
「そんなに気にするなって。もう何年か前に思っただけだからさ」
聖乃がまだ小学生で緋紗の陶芸教室に通っていた時に颯介も送り迎えをしていたことがあった。
その時に沢田と会うこともあったのだろう。
直樹が考え込んでいると母の慶子と颯介の妻の早苗が帰ってきた。
早苗が元気の良い明るい声をかけてくる。
「久しぶりね」
「おかえり。ちょっとお土産を置きにね」
「うんうん。そこで優樹に会ったわよ」
「子供のころの颯介と直樹そっくりねえ」
老いた慶子は思い出したように静かに微笑んで言う。
「仲良かったのね」
「俺の場合は兄貴に連れまわされただけだけどね」
「えー。そうだったかあ」
「聖乃は部活忙しそうだね。バスケットだっけ」
「うん。レギュラーになったしね。次の試合から出してもらえるらしいの」
「へー。さすがだね」
聖乃は颯介に顔立ちは似ているが早苗に似て大柄で体格が良かった。
「後輩の女子にモテモテだってさ」
颯介は小気味良さそうに言う。(男子だったら大騒ぎしてるんだろうな)
直樹はこっそり笑った。
賑やかな昼食を終えてから直樹と優樹は緋紗の待つ静かな家へと帰った。
沢田雅人は緋紗がアトリエを借りているペンション『セレナーデ』でディナータイムにピアノの演奏を行っている。
オーナーのピアニストだった妻、小夜子が亡くなった後、小夜子を信奉していた沢田が演奏を引き継ぐことになったのだった。
本職は作業療法士で今年三十六歳になるはずだが浮いた話一つ聞いたことがない。
「そんなに気にするなって。もう何年か前に思っただけだからさ」
聖乃がまだ小学生で緋紗の陶芸教室に通っていた時に颯介も送り迎えをしていたことがあった。
その時に沢田と会うこともあったのだろう。
直樹が考え込んでいると母の慶子と颯介の妻の早苗が帰ってきた。
早苗が元気の良い明るい声をかけてくる。
「久しぶりね」
「おかえり。ちょっとお土産を置きにね」
「うんうん。そこで優樹に会ったわよ」
「子供のころの颯介と直樹そっくりねえ」
老いた慶子は思い出したように静かに微笑んで言う。
「仲良かったのね」
「俺の場合は兄貴に連れまわされただけだけどね」
「えー。そうだったかあ」
「聖乃は部活忙しそうだね。バスケットだっけ」
「うん。レギュラーになったしね。次の試合から出してもらえるらしいの」
「へー。さすがだね」
聖乃は颯介に顔立ちは似ているが早苗に似て大柄で体格が良かった。
「後輩の女子にモテモテだってさ」
颯介は小気味良さそうに言う。(男子だったら大騒ぎしてるんだろうな)
直樹はこっそり笑った。
賑やかな昼食を終えてから直樹と優樹は緋紗の待つ静かな家へと帰った。