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スカーレットオーク3
第14章 15 抱擁
二人は家の外に出て、裏に植えているスカーレットオークの木の下のベンチに腰掛けた。
スカーレットオークの葉はまだ濃い緑で爽やかな木陰を作っている。
「緑の葉っぱも綺麗」
「うん。綺麗だ」
直樹と緋紗は肩を寄せ合って木を眺める。
「そうだ。浅井さん覚えてる?この前来た」
「ええ。林業女子の」
「うん。沢田君と付き合いだしたよ」
「へー。いつの間に。なんか意外な組み合わせ」
「結婚すると思うよ。なんせ兄貴のお墨付きだし」
「ああ。お義兄さんのお墨付きなら。よかったですね」
(まさか。自分がこんなお節介を焼く羽目になるなんてなあ)
「なんか毎日が不思議な気持ちになるよ。言葉では言い表せないけど」
「私も同じ。色んな気持ちが湧きあがって。でもね。最後には同じ気持ちになる気がするの」
口づけをして抱き合う。
「ずっと好き」
「俺もだ」
二人の頬を優しい風が撫でた。
直樹の肩に落ちてきた緑の葉っぱを緋紗は手に取り、軸をもってクルクル回した。
葉を眺めながら、二人は秋の紅葉を想像する。
直樹は自分だけのことを考えていたころから比べて、緋紗をはじめ他の誰かの幸せを願う自分に多少なりとも成長を感じていた。(俺も少し大人になったのかな)
まだまだ和夫にも颯介にもかなわない気がするが今はこれで十分だ。
スカーレットオークの木陰で緋紗にキスをする。
そして抱きしめる。
恍惚とした緋紗の表情を見るたびに直樹はクリムトの絵を思い出す。(描かれた男の見えない表情は俺と同じ表情なのだろう)
このスカーレットオークの木々が自分たちの生命の樹でありますようにと願いを込めて。
終
スカーレットオークの葉はまだ濃い緑で爽やかな木陰を作っている。
「緑の葉っぱも綺麗」
「うん。綺麗だ」
直樹と緋紗は肩を寄せ合って木を眺める。
「そうだ。浅井さん覚えてる?この前来た」
「ええ。林業女子の」
「うん。沢田君と付き合いだしたよ」
「へー。いつの間に。なんか意外な組み合わせ」
「結婚すると思うよ。なんせ兄貴のお墨付きだし」
「ああ。お義兄さんのお墨付きなら。よかったですね」
(まさか。自分がこんなお節介を焼く羽目になるなんてなあ)
「なんか毎日が不思議な気持ちになるよ。言葉では言い表せないけど」
「私も同じ。色んな気持ちが湧きあがって。でもね。最後には同じ気持ちになる気がするの」
口づけをして抱き合う。
「ずっと好き」
「俺もだ」
二人の頬を優しい風が撫でた。
直樹の肩に落ちてきた緑の葉っぱを緋紗は手に取り、軸をもってクルクル回した。
葉を眺めながら、二人は秋の紅葉を想像する。
直樹は自分だけのことを考えていたころから比べて、緋紗をはじめ他の誰かの幸せを願う自分に多少なりとも成長を感じていた。(俺も少し大人になったのかな)
まだまだ和夫にも颯介にもかなわない気がするが今はこれで十分だ。
スカーレットオークの木陰で緋紗にキスをする。
そして抱きしめる。
恍惚とした緋紗の表情を見るたびに直樹はクリムトの絵を思い出す。(描かれた男の見えない表情は俺と同じ表情なのだろう)
このスカーレットオークの木々が自分たちの生命の樹でありますようにと願いを込めて。
終