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好きと依存は紙一重
第4章 一難去ってまた一難
「連様? まだ寝ていらっしゃるのかしら?」
ドアの向こうから聞こえる声に、連は盛大なため息をついてドアを開ける。連の胸に小さな拳が振り下ろされるも、1歩さがって避けた。
「れ、連様、申し訳ありません!」
外を覗き込むと、薄桃色の着物を着た花梨が深々と頭を下げていた。彼女を見た瞬間、未亜の胸は疑問と不安でいっぱいになった。いくら声で彼女だと分かっていたとはいえ、こうして姿を見るとショックでどうにかなりそうだった。
「いえ、構いまへん。ここではなんどすさかい、どうぞ中へ」
「いえ、すぐに済みますので。旦那様からです」
そう言って花梨は白い封筒を差し出した。連は封筒を受け取ろうとせず、花梨を睨みつけている。身体が震えているのは、怒りからなのか、父親に見つかった恐怖からなのかは、本人にしか分からない。どちらにせよ、少しでも和らげばと彼の手を握った。
「ねぇ、連のことなんで言ったの? アタシ、昨日言ったよね? 連のこと大事なら放っといてって。そもそもなんでここに来たの?」
「花梨、姫さんに何したんどす?」
顔と声を険しくした連に花梨は1歩後ずさるも、必死に首を横に振る。
「わ、私、連様のこと、旦那様に言ってません! 私達が偶然会った時、旦那様も連様に気づいていたのです」
「姫さんに何したか聞いてるんだよ」
花梨が告げ口を否定すると、連は低い声で問い詰めた。これには未亜も驚き、思わず連の手を強く握ると、安心させるように優しく握り返された。
「私、連様がご自分の意志で出ていったと信じられなくて……。おつかいに行ったらそちらの女性を見かけて、それで……、その、お話を聞いて……」
「本当に、話を聞いただけか?」
「あの、えっと……」
連の豹変ぶりに花梨はどもりながら視線を宙にさ迷わせる。よく見ると瞳が潤んでおり、さすがに可哀想だと思った未亜は、連の手を軽く引っ張って明るい声を出す。
ドアの向こうから聞こえる声に、連は盛大なため息をついてドアを開ける。連の胸に小さな拳が振り下ろされるも、1歩さがって避けた。
「れ、連様、申し訳ありません!」
外を覗き込むと、薄桃色の着物を着た花梨が深々と頭を下げていた。彼女を見た瞬間、未亜の胸は疑問と不安でいっぱいになった。いくら声で彼女だと分かっていたとはいえ、こうして姿を見るとショックでどうにかなりそうだった。
「いえ、構いまへん。ここではなんどすさかい、どうぞ中へ」
「いえ、すぐに済みますので。旦那様からです」
そう言って花梨は白い封筒を差し出した。連は封筒を受け取ろうとせず、花梨を睨みつけている。身体が震えているのは、怒りからなのか、父親に見つかった恐怖からなのかは、本人にしか分からない。どちらにせよ、少しでも和らげばと彼の手を握った。
「ねぇ、連のことなんで言ったの? アタシ、昨日言ったよね? 連のこと大事なら放っといてって。そもそもなんでここに来たの?」
「花梨、姫さんに何したんどす?」
顔と声を険しくした連に花梨は1歩後ずさるも、必死に首を横に振る。
「わ、私、連様のこと、旦那様に言ってません! 私達が偶然会った時、旦那様も連様に気づいていたのです」
「姫さんに何したか聞いてるんだよ」
花梨が告げ口を否定すると、連は低い声で問い詰めた。これには未亜も驚き、思わず連の手を強く握ると、安心させるように優しく握り返された。
「私、連様がご自分の意志で出ていったと信じられなくて……。おつかいに行ったらそちらの女性を見かけて、それで……、その、お話を聞いて……」
「本当に、話を聞いただけか?」
「あの、えっと……」
連の豹変ぶりに花梨はどもりながら視線を宙にさ迷わせる。よく見ると瞳が潤んでおり、さすがに可哀想だと思った未亜は、連の手を軽く引っ張って明るい声を出す。