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好きと依存は紙一重
第4章 一難去ってまた一難
 最初は気難しい顔をしていた連だが、徐々に瞳が潤んでいく。途中で手紙を閉じ、未亜に視線を移す。
「姫さん、すいませんが……」
「散歩してくるね」
 連の言葉を場違いなほど明るい声で遮り、そのままビルから出ていく。ちょっとした広場のベンチに座り、ぼんやりと空を仰ぐ。雲ひとつない澄み切った青空が広がり、気持ちがいい。次に辺りを見回すと、通勤、通学する会社員や学生、ジャージを着てジョギングをする者や犬の散歩をする者がいる。
 こうして改めて見てみると、東京は本当に人が多い。

 未亜が住んでいた田舎町はこの時間に出歩いても、ここまで多くの人と出会うことはない。遭遇するのは自転車通学の中高生と、散歩をする老夫婦くらいだ。
「そういえば、理子も東京に住んでるんだっけ」
 ふと、高校で仲良くなった女の子のことを思い出す。アジア系と日本のハーフで、彼女も毒親に苛まれていたことから、気があった。未亜に東京のデリヘルで働くことを勧めたのも、理子だった。
 車関係の職に就いている彼氏に溺愛されながらも、デリヘルで働いていた理子。半年でバレてひと悶着があったというのに、今度はハプニングバーに通ったり、緊縛師に金を出して縛られに行ったりしていた。そういった所に行く際、未亜と遊んでいるというアリバイを作るため、彼女の指示でSNSに書き込みをしたりと大変だった。

 20歳になる頃ふたりは結婚し、東京に移り住んだ。その後も何度か未亜にアリバイ工作をさせていたため、うんざりしてこっそり連絡先を切った。
「何つまんないこと思い出してんだろ」
 だから恋が出来ないんだと自嘲していると、腹の虫が情けなく鳴いた。花梨の訪問で朝食を食べ損ねたことを思い出し、ため息をつく。
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