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好きと依存は紙一重
第4章 一難去ってまた一難
「シャム猫先生、よかったら一緒にご飯食べない? ごちそうするわ」
 そう言って優しく微笑む茜に、後光が射している。あまりにもありがたいお言葉に、未亜は手を合わせずにはいられなかった。
「神様仏様茜様、ありがとうございます」
「もう、よしてよ」
 茜は恥ずかしそうに笑いながら未亜の肩を軽く叩くと、彼女の手を取った。未亜の手より少し大きくて滑らかな手は温かくて、握っているだけで安心する。

「じゃ、行こっか」
「うん」
 甘え上手な未亜は茜の腕に抱きつき、頭を肩に預けながら歩いた。仲の良い姉妹のように寄り添って歩くふたりを、通りがかりの人々は微笑ましげに眺めていた。

 茜に連れられて来たのは、どこにでもあるコーヒーショップのチェーン店だ。ふたりはクロワッサンサンドとアイスティーを注文し、奥の席に座る。店内にはこれから通勤するであろうスーツ姿の人や、学校をサボってコイバナで盛り上がる女子高生などがちらほらいるだけだ。
 手を合わせ、クロワッサンサンドにかぶりつく。シャキシャキのレタスにこんがり焼いた厚切りベーコン、チーズとシンプルな具材だが、サクサクのクロワッサンに塗られたマスタードと、ベーコンについた甘辛ソースがたまらない。

(そんな高くないし、ここで執筆してもいいかも)
 いい作業場を見つけたと、頬を綻ばせていると、茜が小さく笑う。
「え? どうしたの?」
「先生、幸せそうな顔してて可愛いなって。何考えてたの?」
 やましいことは考えてはいないが、顔に出ていたのかと思うと恥ずかしくなる。

「ここ、安いし美味しいから、後で作業場にしよっかなって」
「ふふ、気に入ってもらえたようでよかったわ」
 おしとやかに笑う茜を、未亜はじっと見つめる。
(この人はどんな恋愛をしてきたんだろう? どんな人を好きになったんだろう? どんな愛を育むんだろう?)
 歳上で優しい茜。癒し系美人の彼女なら、きっとモテるだろう。人並み以上の恋愛をしてきたって、おかしくはない。
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