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好きと依存は紙一重
第4章 一難去ってまた一難
「姫さんがインターホンを鳴らすなんて珍しいやないどすか。元気があらしまへんね、なんかおましたか?」
「朝から歩き回って疲れただけ。そんなことよりおなかすいちゃった。一応茜さんにクロワッサンサンドごちそうになったんだけど、ちょっと足りなくてさ」
平静を装って話すも、連は眉をひそめて未亜を見下ろしている。下手な演技を見破られたと悟った未亜は、ため息をついて両手を上げる。
「はいはい、降参。白状するからそんな目で見ないでよ」
「……とりあえず、中に入りまひょか」
連は言葉を返さずに未亜を招き入れると、台所に行った。とっくに腹に収まっていたはずの朝食たちは、ラップをかけられ、隅に追いやられている。よく見ればふたり分あることから、連もまだ食べていないのだろう。
「もしかして、父上からの手紙が気になってます?」
どう切り出そうか考えていると、連はいきなり核心をついてきた。驚きのあまり息を呑み、丸くした目で連を見つめる。
「やっぱし……」
しかたないと言わんばかりの微笑を浮かべ、冷蔵庫から缶ビールと緑茶を出し、未亜の前に緑茶を置く。未亜はすぐさまペットボトルを開け、緑茶で喉を潤した。その間、プシュッという音と、ビールを一気呑みする音が聞こえた。
「こんな時にもビール?」
「緑茶はそれしかあらへんどすし、今からお湯を沸かすのも面倒どすさかいね。姫さんだって、そないに待ってる余裕はあらへんのちゃいます?」
確かに彼の言うとおりだ。1秒でも早く、手紙の内容が知りたい。というよりも、連がどうするのかを聞いて安心したい。
未亜のだんまりを肯定とみなしたのか、連はそのまま言葉を紡いでいく。
「手紙の内容どすけど、要約すると『今まですまへんかった。戻ってきても構わへんし、そのまま自分の好きなことしとっても構わへん』っちゅうこと」
(戻っても、構わない……。連は……)
そのことが、未亜の心に鉛玉のようにのしかかる。連が帰ってしまう可能性が出てきた。それだけで、叫びたいほど苦しくなる。
「朝から歩き回って疲れただけ。そんなことよりおなかすいちゃった。一応茜さんにクロワッサンサンドごちそうになったんだけど、ちょっと足りなくてさ」
平静を装って話すも、連は眉をひそめて未亜を見下ろしている。下手な演技を見破られたと悟った未亜は、ため息をついて両手を上げる。
「はいはい、降参。白状するからそんな目で見ないでよ」
「……とりあえず、中に入りまひょか」
連は言葉を返さずに未亜を招き入れると、台所に行った。とっくに腹に収まっていたはずの朝食たちは、ラップをかけられ、隅に追いやられている。よく見ればふたり分あることから、連もまだ食べていないのだろう。
「もしかして、父上からの手紙が気になってます?」
どう切り出そうか考えていると、連はいきなり核心をついてきた。驚きのあまり息を呑み、丸くした目で連を見つめる。
「やっぱし……」
しかたないと言わんばかりの微笑を浮かべ、冷蔵庫から缶ビールと緑茶を出し、未亜の前に緑茶を置く。未亜はすぐさまペットボトルを開け、緑茶で喉を潤した。その間、プシュッという音と、ビールを一気呑みする音が聞こえた。
「こんな時にもビール?」
「緑茶はそれしかあらへんどすし、今からお湯を沸かすのも面倒どすさかいね。姫さんだって、そないに待ってる余裕はあらへんのちゃいます?」
確かに彼の言うとおりだ。1秒でも早く、手紙の内容が知りたい。というよりも、連がどうするのかを聞いて安心したい。
未亜のだんまりを肯定とみなしたのか、連はそのまま言葉を紡いでいく。
「手紙の内容どすけど、要約すると『今まですまへんかった。戻ってきても構わへんし、そのまま自分の好きなことしとっても構わへん』っちゅうこと」
(戻っても、構わない……。連は……)
そのことが、未亜の心に鉛玉のようにのしかかる。連が帰ってしまう可能性が出てきた。それだけで、叫びたいほど苦しくなる。