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好きと依存は紙一重
第5章 好きと依存は紙一重
(うわぁ、今のアタシ、絶対処女よりもめんどくさい……)
 生娘のような自分の反応に戸惑いながらも、小さな自己嫌悪を抱く。だがそんなことを考えている余裕は、すぐに消えた。
 連は未亜の柔らかな首筋に甘噛みをすると、力強く吸い付いた。甘い痛みと快楽に、躯が小さく跳ね上がる。
「ひゃぅ、んんっ……!」
 口を離すと、真っ赤な花びらが未亜の首筋を彩った。連は満足げについたばかりの所有印を見ると、ちゅっとリップ音を立ててキスをする。

「綺麗についたで、姫さんがうちのやちゅう印。ずっとつけたい思てました」
 聞いたことのない、低く、艶のある声で言われ、思わず吐息が零れる。連の独占欲が、どうしようもなく嬉しい。その後も連はいくつもの所有印をつけていき、未亜の首筋や胸元に真っ赤な花びらが散った。
「ふふ、姫さんは肌白いさかい、赤映えるなぁ」
 そう言って連は愛おしそうにつけた痕を指先でなぞっていく。それだけで背筋が粟立ち、もっと触れてほしいと思ってしまう。だが、今の未亜は目先の快楽よりもほしいものがある。

「んんっ……。ね、連。未亜って、名前で呼んで」
 未亜の未は未熟の未と同じ漢字、亜には次位という意味があると知り、自分の名前が好きではなかった。まるで自分がずっと未完成な気がした。それでも好きな人には、ちゃんと名前で呼んでほしい。
「未亜、さん……?」
 小首をかしげながらぎこちなく自分の名前を呼ぶ連がおかしくて、思わず吹き出す。同時に愛しさもこみあげてくるのだから、不思議だ。

「未亜って、呼び捨てでいいよ」
「未亜、未亜……。好きな人の名前を口にするだけで、こないにも幸せになれるものなんどすなぁ」
 連は噛みしめるように言うと、触れるだけのキスをする。
「名前呼ばれる方も嬉しいよ。自分の名前、そんなに好きじゃないんだけどね。連が呼んでくれると悪くないって思える」
 未亜は連の首に手を回し、彼の顔を自分に寄せると、啄むようなキスをした。このままずっとキスをしていたいという気持ちと、はやく触れてほしいという気持ちが混ざり合って、変な気分だ。
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