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好きと依存は紙一重
第2章 jester
「なんのこと?」
「いや、もういいです……」
未亜の行動に言い返す気力がなくなったのか、直己は肩を落としながら言う。未亜は勝ち誇った様な笑みを浮かべると、連の隣に戻った。
「直己をからかうのはええけど、バイトはええんどすか?」
連に言われて店内の時計を見ると、13時半になっていた。バイト先の本屋まで歩いて10分のところにある。今から休まず行けば余裕で着くが、あまり体力のない未亜は休みながら行くので、余裕を持って行く。
「あー、そろそろ行かないと」
「ごちそうしますえ。行ってらっしゃい」
「ありがとう、行ってきます」
未亜は隣に置いてあったPCカバンをひったくるように取り、フロイデを後にした。
道中のベンチで休みながら、バイト先の本屋に向かう。10分かかる道を、たっぷり20分かけて10分前に本屋についた。店内に入ると紙のにおいに包まれ、胸がときめく。
「おはよう、神谷さん」
レジに立っている40代の男性が、柔和な笑みで挨拶をしてくれる。彼は坂本和仁。白髪混じりの髪を整髪料できれいに整えた、眼鏡がよく似合う中年男性だ。彼がこの本屋の店長である。
「おはようございます、店長」
未亜は挨拶を返すとロッカールームへ行き、エプロンに着替えて売り場に出る。未亜が売り場に出たのとほぼ同時に、同じ時間帯で働く森翔が入ってきた。翔は今時の若者らしく髪を明るい茶色に染め、ピアスを開けている。よくこれで本屋の面接に受かったものだと、いつも思う。
「未亜ちゃんおはよ」
「おはよう、森さん。今日も馴れ馴れしいね」
胡散臭いほどに明るい声で言っても、翔はにこにこしたままだ。ある程度観察眼が養われている未亜でも、翔の考えはイマイチ理解できない。
「いや、もういいです……」
未亜の行動に言い返す気力がなくなったのか、直己は肩を落としながら言う。未亜は勝ち誇った様な笑みを浮かべると、連の隣に戻った。
「直己をからかうのはええけど、バイトはええんどすか?」
連に言われて店内の時計を見ると、13時半になっていた。バイト先の本屋まで歩いて10分のところにある。今から休まず行けば余裕で着くが、あまり体力のない未亜は休みながら行くので、余裕を持って行く。
「あー、そろそろ行かないと」
「ごちそうしますえ。行ってらっしゃい」
「ありがとう、行ってきます」
未亜は隣に置いてあったPCカバンをひったくるように取り、フロイデを後にした。
道中のベンチで休みながら、バイト先の本屋に向かう。10分かかる道を、たっぷり20分かけて10分前に本屋についた。店内に入ると紙のにおいに包まれ、胸がときめく。
「おはよう、神谷さん」
レジに立っている40代の男性が、柔和な笑みで挨拶をしてくれる。彼は坂本和仁。白髪混じりの髪を整髪料できれいに整えた、眼鏡がよく似合う中年男性だ。彼がこの本屋の店長である。
「おはようございます、店長」
未亜は挨拶を返すとロッカールームへ行き、エプロンに着替えて売り場に出る。未亜が売り場に出たのとほぼ同時に、同じ時間帯で働く森翔が入ってきた。翔は今時の若者らしく髪を明るい茶色に染め、ピアスを開けている。よくこれで本屋の面接に受かったものだと、いつも思う。
「未亜ちゃんおはよ」
「おはよう、森さん。今日も馴れ馴れしいね」
胡散臭いほどに明るい声で言っても、翔はにこにこしたままだ。ある程度観察眼が養われている未亜でも、翔の考えはイマイチ理解できない。