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好きと依存は紙一重
第2章 jester
「だって仕事仲間じゃん?」
それだけ言うと、翔はロッカールームに入ってしまう。
「神谷さん、僕は検品してくるから、レジをお願いね」
「はい」
和仁がバックヤードに行くのを見送ると、未亜は客達を観察しながら仕事をこなす。主婦が何冊ものレシピ本やダイエット本に紛れてティーンズラブメインのレディコミを買ったり、真面目そうな学生がバトル漫画を買ったりするのを頭の片隅にメモしながら、レジを打つ。
18時50分、あと10分で上がりというところで、気の弱そうな青年がもじもじしながらレジに来た。持ってきた本のタイトルは、”愛の蜜に溺れて”。表紙のイラストからして、若い女性をターゲットにした恋愛小説だ。
(面白そう。買ってみよ)
本のタイトルを脳内で何度も繰り返しながら、レジを打った。
19時になってバイトが終わると、未亜はさっそく女性向けの小説が置いてある棚へ向かう。作者順に並んでいることを今更思い出し、作者の名前を覚えていないことを後悔しながら、本棚の前でため息をつく。
「あれ、どこの出版社だろ? せめて出版社だけでも覚えとくんだった……」
「なにしてんの」
後ろから軽薄な声が聞こえ、舌打ちしそうになるのをこらえて振り返る。翔がニヤついた顔で未亜を見下ろしていた。
「お客さんが買ってた本で、気になるのがあって」
無言で立ち去りたいのは山々だが、翔を利用しようと思い、あえて素直に話した。
「ふーん、なんて本?」
「愛の蜜に溺れてって本」
「んー、ちょい待ち」
翔はその場を離れる。きっとカウンターに戻って、パソコンで在庫確認をしているのだろう。その間自力で探そうとするが、見つからない。
3分もすると、翔は小走りで戻ってきた。
「在庫あるけど、バックヤード。取ってきてあげるから待っててよ」
「ありがと、助かる。レジで待ってるから」
「おけ」
翔は返事をすると、バックヤードへ行く。未亜はレジに行くと、レジの隣にある小さなお菓子コーナーからチューインガムを見つけてレジに置いた。
それだけ言うと、翔はロッカールームに入ってしまう。
「神谷さん、僕は検品してくるから、レジをお願いね」
「はい」
和仁がバックヤードに行くのを見送ると、未亜は客達を観察しながら仕事をこなす。主婦が何冊ものレシピ本やダイエット本に紛れてティーンズラブメインのレディコミを買ったり、真面目そうな学生がバトル漫画を買ったりするのを頭の片隅にメモしながら、レジを打つ。
18時50分、あと10分で上がりというところで、気の弱そうな青年がもじもじしながらレジに来た。持ってきた本のタイトルは、”愛の蜜に溺れて”。表紙のイラストからして、若い女性をターゲットにした恋愛小説だ。
(面白そう。買ってみよ)
本のタイトルを脳内で何度も繰り返しながら、レジを打った。
19時になってバイトが終わると、未亜はさっそく女性向けの小説が置いてある棚へ向かう。作者順に並んでいることを今更思い出し、作者の名前を覚えていないことを後悔しながら、本棚の前でため息をつく。
「あれ、どこの出版社だろ? せめて出版社だけでも覚えとくんだった……」
「なにしてんの」
後ろから軽薄な声が聞こえ、舌打ちしそうになるのをこらえて振り返る。翔がニヤついた顔で未亜を見下ろしていた。
「お客さんが買ってた本で、気になるのがあって」
無言で立ち去りたいのは山々だが、翔を利用しようと思い、あえて素直に話した。
「ふーん、なんて本?」
「愛の蜜に溺れてって本」
「んー、ちょい待ち」
翔はその場を離れる。きっとカウンターに戻って、パソコンで在庫確認をしているのだろう。その間自力で探そうとするが、見つからない。
3分もすると、翔は小走りで戻ってきた。
「在庫あるけど、バックヤード。取ってきてあげるから待っててよ」
「ありがと、助かる。レジで待ってるから」
「おけ」
翔は返事をすると、バックヤードへ行く。未亜はレジに行くと、レジの隣にある小さなお菓子コーナーからチューインガムを見つけてレジに置いた。