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好きと依存は紙一重
第2章 jester
「愛って何?」
 メンヘラ女みたいな独り言に、失笑する。ふと、両親や今まで見てきたカップルを思い出す。未亜の両親は彼女が物心つく前から仲が悪かった。顔を合わせれば嫌味を言い合うか、機嫌が良ければ愛想笑いをしながら思ってもいないことを口にしていた。未亜が小学3年生くらいになると、ふたりは未亜にパートナーの愚痴を零すようになった。

「お母さんっていっつも怒ってるせいで顔にシワが増えたよな。お前の友達にミキちゃんっていたろ? ミキちゃんママの方がお母さんよりも5歳も歳上なのに、若々しいよなぁ」
「お父さんったらいっつもだらだらしてみっともないよね? おなかもあんなに出ちゃって、見苦しいったらありゃしないわ」
 仲の悪いふたりだが、パートナーの愚痴を言い終わると、「未亜もそう思うよね?」と同意を求める。
 ふたりがどれだけ稼いでいるのかは知らないが、どちらもそこそこ有名な企業の正社員だ。きっと離婚してひとりで未亜の面倒を見ることになっても、やっていけるだろう。それなのにふたりは未だに離婚していないのが少し気持ち悪い。

 次に思い出したのは、中学時代の学校1イケメンと言われたバスケ部の男子。1年生の時は未亜と同じクラスで、確か裕二といった。ハーフっぽいような爽やかな顔立ちで、先生達も「もう少し若かったらな」と言っていたほどだ。
 本当かどうかは分からないが、自分に言い寄ってくる女子に宿題をやらせていたという噂があった。誰もが裕二に夢中だったが、未亜は彼が苦手だった。
 中学生にして何股もし、裕二を巡る女子達の修羅場を何度も目撃した。浮気症で有名なのに、顔が良くてバスケが上手いというだけで裕二に寄ってくる女子も、モテるからといってすべての女子が自分を好きになると勘違いをし、馴れ馴れしくボディタッチしてくる裕二も好きになれなかった。
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