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好きと依存は紙一重
第1章 決意
「10万稼ぐとかすっごい久々ー! どうしよっかな? イベント近いし表紙描いてもらっちゃおうかな? 新刊は多いほうがいいもんね」
近々行われる小説同人即売会に思いを馳せる。未亜は上京してからまだ1回しか参加していないが、作家仲間やファンと交流できるこのイベントが大好きだ。自分を知らない人も即売会で買って、ファンになってくれることもあれば、面白い作品に出会えることもある。
財布を抱えながら鼻唄を歌い、歩道橋の階段を登っていく。夜でも人が多い都会は、歩道橋にもたくさんの人が歩いている。その中で、目につく青年がいた。
全身黒ずくめの不審者スタイルで、金髪が目につく。足元には服装と同じく真っ黒なリュックサックとスーツケースが置いてある。青年は物憂げな目で道路を見下ろしていた。
(訳ありヤンキー? 声かけたら怒られるかな?)
少し怖いと思いながらも、服装に反した青年の哀愁が気になった未亜は、財布をフレアスカートのゴムに挟んでパーカーで隠すと、青年に近づいた。
「ねぇ」
未亜が声をかけると、青年は面白いくらいに肩を揺らし、怯えたような目で未亜を見下ろす。彼が憔悴しきっているのが、ひと目で分かった未亜は、心配になって手を握る。青年の手は、思わず悲鳴を上げてしまうほど冷たくなっていた。
「ちょっと、ずっとここにいたの!?」
「えっと、どちら様でっしゃろか?」
見た目にそぐわないおっとりとした喋り方に、未亜は思わず青年を見つめる。青年は不思議そうに小首をかしげると、くしゃみをして身体を震わせる。
「こんなところにいたら風邪引くよ? とりあえずさ、一緒にごはん食べよ。大丈夫、アタシがおごったげるから!」
「あ、ちょっと……!」
未亜は青年の足元にあったリュックサックを背負うと、彼の手を引く。青年は慌ててスーツケースを引っ張り、大人しく未亜についていく。
近々行われる小説同人即売会に思いを馳せる。未亜は上京してからまだ1回しか参加していないが、作家仲間やファンと交流できるこのイベントが大好きだ。自分を知らない人も即売会で買って、ファンになってくれることもあれば、面白い作品に出会えることもある。
財布を抱えながら鼻唄を歌い、歩道橋の階段を登っていく。夜でも人が多い都会は、歩道橋にもたくさんの人が歩いている。その中で、目につく青年がいた。
全身黒ずくめの不審者スタイルで、金髪が目につく。足元には服装と同じく真っ黒なリュックサックとスーツケースが置いてある。青年は物憂げな目で道路を見下ろしていた。
(訳ありヤンキー? 声かけたら怒られるかな?)
少し怖いと思いながらも、服装に反した青年の哀愁が気になった未亜は、財布をフレアスカートのゴムに挟んでパーカーで隠すと、青年に近づいた。
「ねぇ」
未亜が声をかけると、青年は面白いくらいに肩を揺らし、怯えたような目で未亜を見下ろす。彼が憔悴しきっているのが、ひと目で分かった未亜は、心配になって手を握る。青年の手は、思わず悲鳴を上げてしまうほど冷たくなっていた。
「ちょっと、ずっとここにいたの!?」
「えっと、どちら様でっしゃろか?」
見た目にそぐわないおっとりとした喋り方に、未亜は思わず青年を見つめる。青年は不思議そうに小首をかしげると、くしゃみをして身体を震わせる。
「こんなところにいたら風邪引くよ? とりあえずさ、一緒にごはん食べよ。大丈夫、アタシがおごったげるから!」
「あ、ちょっと……!」
未亜は青年の足元にあったリュックサックを背負うと、彼の手を引く。青年は慌ててスーツケースを引っ張り、大人しく未亜についていく。