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好きと依存は紙一重
第2章 jester
「よかったらどうぞ」
 連が言い終わる前に、未亜は封を開けていた。箱の中には銀色の包がある。中央の切り込みを破ると、チョコとベリーの香りが鼻腔をくすぐる。
「ふふっ……」
 香りだけで幸せな気持ちになり、思わず笑みがこぼれる。ひとつ頬張ると、上品かつ優しい甘みが口いっぱいに広がる。前歯で軽く噛むとチョコはたやすく崩れ、甘酸っぱいストロベリーソースが舌に絡まる。ソース単体だと酸味が強かっただろうが、ホワイトチョコの甘みが酸味を緩和し、互いの長所を引き立たせている。

「はぁ、最高……」
 予想以上の美味しさにうっとりしていると、隣からプシュッという音が聞こえた。横目でそちらを見てみると、連が喉仏を揺らしながらゴクゴクとビールを呑んでいる。
(朝っぱらからよくそんなに呑めるよねぇ……)
 呆れるを通り越して感心した。親が厳しくて、20歳になっても酒を呑んだことがないという連に、酒を教えたのは未亜だ。おもしろ半分にビールやチューハイを呑ませ、日向にカクテルを作らせて呑ませた。すぐにダウンすると思ったがイケる口だったらしく、次から次へと流し込んでいった。
 スイーツ感覚でチョコレートリキュールを使ったカクテルを1,2杯呑んだだけで顔が真っ赤になってしまう未亜と違い、連は何杯呑んでも顔色が変わることはなかった。

 一通り呑ませたところビールが1番のお気に入りらしく、今日のように予定が少ない日の朝をホテルで迎えると、こうして朝からビールを呑む。
「朝のビールは格別どすなぁ」
「よく朝から呑めるよね」
「美味しいものを呑むのに、朝も夜も関係あらしまへんで」
 子供のような笑みを浮かべる連に、未亜は失笑して紅茶を淹れなおした。連が酒を楽しんでいる間、未亜は優雅にティータイムを楽しんだ。
 ちなみに連はこの後、ワンカップ大関も呑み干した。
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