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好きと依存は紙一重
第2章 jester
 スマホでスキルマーケットを確認すると、女性向け音声作品の台本を書いてほしいという依頼が1件と、官能小説を書いてほしいという依頼が2件来ている。ルーズリーフを3枚並べると、彼らにテンプレの挨拶と、料金の確認、依頼品についての質問をした。
 まず、台本の依頼をくれたイデアという男性から返信が来る。とても丁寧な返信をくれるが、油断してはいけない。アドリブがどれほどのものだと認知しているのか、確認する必要がある。というのも、概要説明に「アドリブOKです」と書いておいたので、その点について何も言わずにいたら、タイトルを変えられ、キャラ崩壊したシナリオを勝手に追加されてしまった過去がある。それ以来、アドリブはどこまでしていいのか説明するようにしている。

 アドリブ確認の返信をしていると、ちゃもというユーザーから返信が来た。細かいプロットと、キャラクターのイメージイラストが次々と送られてくる。プロットを見る限り、ちゃもは男性であることが分かる。権力のある醜男達が、強気な美人を陵辱していく話を所望している。
「よくやるよ……」
 こういった陵辱系の作品を書いてほしいという依頼を見るたびに、未亜は相手を侮蔑する。陵辱系作品に嫌悪感を抱いているわけではない。むしろ、暇つぶしにアダルト作品を漁る時は、陵辱系を見ることが多い。それでもリアルの男性からこういった依頼が来るのは不快な類のグロテスクさがある。

 イデアとちゃもに返信をすると、イデアについて調べてみる。大手の音声作品のサイトで活動していることがすぐに分かった。女性向けの音声作品を数多く出品しており、全年齢向けもあれば、R指定作品も置いてある。設定や時間の長さもさまざまだ。
「へぇ、役の幅も広いな……」
 イデアが演じているキャラクターは、学生から中年男性までの様々な年代がいる。学生、20代、30代、40代、の順で、サンプルボイスを聴いていく。
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