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好きと依存は紙一重
第2章 jester
 どの声もその年齢にあった声で、演技力も申し分ない。
 編集もイデア本人がやっているようだが、こちらの技術もしっかりしてそうだ。試しに短い作品をひとつ購入して聴いてみる。
 あらすじはこうだ。ある日めまいを起こし、そのまま倒れてしまった女性(リスナー)。女性はそのまま病院に運ばれ、医師に診察される。診察の結果、女性は過労で倒れたという。それを知った女性は仕事に戻ろうとするが、医師に止められる。その場では大人しく入院するという女性だが、医師の隙を見て病院から脱走しようとするも、すぐに見つかって病室に連れ戻されてしまう。拘束具でベッドに拘束され、お仕置きと称して犯されるというものだ。

「うーん、シナリオは無理してる感あるけど、編集も演技力も問題なし」
 イデアの作品一覧に戻り、スクロールしていく。よく見ると、過去に上位に食い込んだ作品が多いことが分かる。1位を取った作品も、少なくない。
「うわぁ、すごい人から依頼来ちゃったな。頑張ろっと」
 気合を入れてスキルマーケットに戻ると、3人目の依頼人、マロンから返信が来ていた。だがその内容に、未亜は思わず舌打ちをしてしまう。

「説明文読んでよ……」
 マロンからの返信は丁寧な挨拶で始まっていたが、内容は出品内容と異なるものだった。あちらが用意したキャラクターになりきり、デートやセックスをしているチャットをしてほしいというもの。
 未亜は自分の出品一覧に飛ぶと、官能小説書きますという品の説明文に1文書き足した。「なりきりチャットは受け付けておりません」と。それからマロンに断りの文章を送り、ルーズリーフを1枚しまった。

 それからは他のふたりとやりとりをし、プロットの微調整をしていく。
 どちらも返信がはやいので、ルーズリーフはあっという間に埋まっていった。両方の話がまとまる頃には、日は高いところまで昇っていた。
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