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好きと依存は紙一重
第3章 暗雲
これらのメールを読んで思い出すのは、黒犬のこと。
「姫さん、こんなんあまり言いとうあらしまへんが、このメールの送り主が黒犬って可能性はあらしまへんか?」
どうやら連も同じことを考えていたらしく、言いづらそうに口を開く。
「うん、アタシもそうじゃないかって思った。ね、ちなみにこのメールに途中まで返信してたっぽいけど、なんて返信してたの?」
前半のメールは一方的なものに見えたが、後半からは「どうして返事をくれないのですか?」など、返信がないことを咎める文が見受けられた。それらの文章と連の律儀な性格から、初めは返信していたのだろうと推測する。
「褒め言葉に対してはお礼の言葉を、批判にはノーコメント。姫さんについては、本人が舞台挨拶したけがらないと伝えました。そやけど、見ての通り、納得いかへんからって、こうしてなんべんも送って来てるんどす」
そう言って連は、やれやれと肩をすくめる。
「アタシがメール打とうか? 本人からのメールなら、納得するでしょ」
名案だと思ったが、連は首を横に振る。
「たぶん、無駄や思いますえ。あまりにもしつこいさかい、姫さんになりすましてメールを送ったんどすけど、「シャム猫先生がそんなこと言うはずない!」と返事来まして」
「そのメール、見せてもらえる?」
「はい」
連は画面を自分の前に戻すと、再びパソコンを操作して未亜の前に画面を傾けた。送信メールが開いており、そこには丁寧な文章が並んでいた。
”はじめまして、シャム猫と申します。
いつもjesterの演劇を見に来てくださりありがとうございます。私は自分の世界観を壊したくないため、表舞台に立つことはありません。ご理解ください”
(これって物書きっていうより、声優の言い分じゃ……。ま、あながち間違ってないけど)
連のなりすましメールを読んでため息が出そうになるのをぐっと堪える。未亜が舞台挨拶などをしない理由のひとつに、世界観を壊したくないというのがあるのも事実だ。
「姫さん、こんなんあまり言いとうあらしまへんが、このメールの送り主が黒犬って可能性はあらしまへんか?」
どうやら連も同じことを考えていたらしく、言いづらそうに口を開く。
「うん、アタシもそうじゃないかって思った。ね、ちなみにこのメールに途中まで返信してたっぽいけど、なんて返信してたの?」
前半のメールは一方的なものに見えたが、後半からは「どうして返事をくれないのですか?」など、返信がないことを咎める文が見受けられた。それらの文章と連の律儀な性格から、初めは返信していたのだろうと推測する。
「褒め言葉に対してはお礼の言葉を、批判にはノーコメント。姫さんについては、本人が舞台挨拶したけがらないと伝えました。そやけど、見ての通り、納得いかへんからって、こうしてなんべんも送って来てるんどす」
そう言って連は、やれやれと肩をすくめる。
「アタシがメール打とうか? 本人からのメールなら、納得するでしょ」
名案だと思ったが、連は首を横に振る。
「たぶん、無駄や思いますえ。あまりにもしつこいさかい、姫さんになりすましてメールを送ったんどすけど、「シャム猫先生がそんなこと言うはずない!」と返事来まして」
「そのメール、見せてもらえる?」
「はい」
連は画面を自分の前に戻すと、再びパソコンを操作して未亜の前に画面を傾けた。送信メールが開いており、そこには丁寧な文章が並んでいた。
”はじめまして、シャム猫と申します。
いつもjesterの演劇を見に来てくださりありがとうございます。私は自分の世界観を壊したくないため、表舞台に立つことはありません。ご理解ください”
(これって物書きっていうより、声優の言い分じゃ……。ま、あながち間違ってないけど)
連のなりすましメールを読んでため息が出そうになるのをぐっと堪える。未亜が舞台挨拶などをしない理由のひとつに、世界観を壊したくないというのがあるのも事実だ。