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好きと依存は紙一重
第1章 決意
「ファミレス初めてなら、ドリンクバーも知らないでしょ? 教えたげるから来て」
青年とドリンクバーへ行くと簡単に説明をし、ホットココアを注いだ。
「そらなんどすか?」
「えぇ、ココア知らないの? 甘くて美味しいよ」
未亜が驚きながらも答えると、青年は興味深そうにココアを見つめたあと、未亜に教わりながらココアを注ぐ。
席に戻ると、青年は恐る恐るココアに口をつける。
「こないに甘おして美味しいもの、初めて飲んだ」
「どんな暮らししたらココア知らないでそこまで育つの? てか、まだ自己紹介してなかったね。アタシは神谷未亜。本屋とかデリヘルとかで働いてるんだ。お兄さんは?」
「大槻連、日本舞踊家をしてました」
連は周囲を見渡すと、未亜にしか聞こえないほどの小さな声で言った。
「え? なんでそんな小声なわけ? もしかして有名人?」
未亜の問いに連はコクリと頷き、小さな声で一応、と言うとうつむいた。未亜は手元のスマホで連の名前を調べる。てっきり「大月」と書くのかと思っていたが、文字を入力している最中に、「大槻連」と検索候補が出てきたのでタップして検索する。
画像が何枚も出てくるが、日本舞踊独特の白塗り化粧で、それが連本人なのかはイマイチ分からない。プロフィールをネットニュースなどを見てみると、女形の日本舞踊家と言えば大槻連というほどの実力と才能の持ち主で、彼をきっかけに日本舞踊にハマった若者も増えてきているという。
(うわぁ、すごい人じゃん……)
そっと顔を上げると、連は不安げな顔をしてうつむき気味でいる。その姿は迷子になってしまった子供のようにも見えた。
「ねぇ、どうしてこんなところにいるの? すごい荷物だけど、家出?」
「すんまへんが、こないなところでは話しにくおす」
「そっか。じゃあさ、この後どうするつもりなの?」
未亜の質問に、連は困り顔をして小さく唸る。この様子だと、行く宛もないのだろう。家出という推測も間違っていないだろうと、未亜は思った。
青年とドリンクバーへ行くと簡単に説明をし、ホットココアを注いだ。
「そらなんどすか?」
「えぇ、ココア知らないの? 甘くて美味しいよ」
未亜が驚きながらも答えると、青年は興味深そうにココアを見つめたあと、未亜に教わりながらココアを注ぐ。
席に戻ると、青年は恐る恐るココアに口をつける。
「こないに甘おして美味しいもの、初めて飲んだ」
「どんな暮らししたらココア知らないでそこまで育つの? てか、まだ自己紹介してなかったね。アタシは神谷未亜。本屋とかデリヘルとかで働いてるんだ。お兄さんは?」
「大槻連、日本舞踊家をしてました」
連は周囲を見渡すと、未亜にしか聞こえないほどの小さな声で言った。
「え? なんでそんな小声なわけ? もしかして有名人?」
未亜の問いに連はコクリと頷き、小さな声で一応、と言うとうつむいた。未亜は手元のスマホで連の名前を調べる。てっきり「大月」と書くのかと思っていたが、文字を入力している最中に、「大槻連」と検索候補が出てきたのでタップして検索する。
画像が何枚も出てくるが、日本舞踊独特の白塗り化粧で、それが連本人なのかはイマイチ分からない。プロフィールをネットニュースなどを見てみると、女形の日本舞踊家と言えば大槻連というほどの実力と才能の持ち主で、彼をきっかけに日本舞踊にハマった若者も増えてきているという。
(うわぁ、すごい人じゃん……)
そっと顔を上げると、連は不安げな顔をしてうつむき気味でいる。その姿は迷子になってしまった子供のようにも見えた。
「ねぇ、どうしてこんなところにいるの? すごい荷物だけど、家出?」
「すんまへんが、こないなところでは話しにくおす」
「そっか。じゃあさ、この後どうするつもりなの?」
未亜の質問に、連は困り顔をして小さく唸る。この様子だと、行く宛もないのだろう。家出という推測も間違っていないだろうと、未亜は思った。